1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640650
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
松本 正勝 神奈川大学, 理学部, 教授 (10260986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 信子 神奈川大学, 理学部, 助手 (40291744)
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Keywords | 化学発光 / ジオキセタン / 熱安定性 / トリガー / 電荷移動 / 赤色発光 |
Research Abstract |
1. 熱安定性に優れたジオキセタン骨格の創出:ジオキセタン環の熱安定性を支配する立体的な因子としてジオキセタン環上の置換基同士の立体反発と環のネジレがあるとの考えの基に、極めて優れた熱安定性に優れた2-オキサビシクロ[3.2.0]へプタン類の合成にすでに成功しているが、これをさらに発展させ、1,3-stericeffectもジオキセタンの安定化に寄与することを見い出した。この結果、室温での半減期が100年以上を有するジオキセタンの創出に成功した。また、旧来の考えでは不安定とされていた6員環性ジオキセタンにおいても、geminal置換基同士の立体反発を利用することにより、極めて熱安定性に優れたジオキセタンの創出が可能であることを明らかにした。 2. 新奇トリガリングシステムの検討:電子供与体となる置換基を有するジオキセタンは電荷移動誘発分解を起こす。この種の電子供与体としてはフェノール性置換基が典型であり,塩基処理あるいは脱保護(トリガリング)により生成するオキシフェニルアニオン置換ジオキセタンは直ちに分解発光する。本年度においては、新奇なトリガリングシステムの開発を目指し、アミノフェニル基を有するジオキセタン類の合成を行い、その熱安定性に関する基礎データを集積すると共に、塩基誘発分解発光を検討した。その結果、パラ-およびオルト-体に比べメタ-アミノフェニル置換ジオキセタンはフェノール性類縁体と同様に熱的に安定であり、かつ塩基処理により発光することを見い出した。なお、メタ-アミノフェニル体からは赤色の発光が見られ、これ旧来のフェノール類縁体(青色発光)との著しい違いである。 3. 蛍光性発色団の設計:様々な置換様式のシロキシナフタレン環を有するジオキセタン類の合成に引き続き、ペンゾフラン、ペンゾチオフェン、さらにペンゾチアゾール環を有するジオキセタンを合成しそれらの塩基誘発発光の特性について検討した。これらのジオキセタンのうち、ペンゾフラン、ペンゾチオフェン誘導体からは赤色発光が、ペンゾチアゾール誘導体からは深紅の発光(λmax=730nm)が見られた(日本化学会第76春季年会発表予定)。
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[Publications] N.Watanabe,H.Suganuma,H.Kobayashi,H.Mutoh,Y.Katao,M.Matsumoto: "Synthesis of 3-Alkoxy-3-aryl-4,4-diisopropyl-1,2-dioxetanes and their Base-Induced Chemiluminescence" Tetrahedron. (印刷中). (1999)
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[Publications] M.Matsumoto: "Control of Mode Selectivity in Singlet Oxygenation of Olefins" Photochemistry. 28. 31-38 (1998)
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[Publications] M.Matsumoto,H.Murakami,N.Watanabe: "Thermal Decomposition of 1-(Aminophenyl)-5-tert-butyl-4,4-dimethyl-2,6,7-trioxabicyclo-[3.2.0]heptanes;unusual O-O bond cleavage competing with normal fragmentation of" J.Chem.Soc.Chem.Commun.2319-2320 (1998)