1998 Fiscal Year Annual Research Report
gem-ジハロ(ハロ)シクロプロパンの特徴を活かした有機合成
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09640652
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田辺 陽 関西学院大学, 理学部, 教授 (30236666)
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Keywords | gem-ジハロシクロプロパン / シクロプロパン / ベンズアヌレーション / 不斉合成 / シフト反応 / モノクロロシクロプロパン / 位置選択的反応 |
Research Abstract |
申請者らは、gem-ジハロ(ハロ)シクロプロパンの特徴を活かした素反応の開発および生理活性天然物・殺虫性化合物の合成研究を行っている。すなわち、ユニークな素反応の開発を◆カチオン的、◆ラジカル的、◆アニオン的と、有機反応の多面的角度からアプローチし、それを応用展開することである。その結果、今年度はカチオン的反応として、以下の成果を挙げた。 ◆sp3 不斉から軸不斉への不斉転写ベンズアヌレーション:gem-ジクロロシクロプロパン類の位置制御型ベンズアヌレーションは、生理活性天然物・医薬の基本骨格として重要なα-アリールナフタレンを合成できる。今回、新しいユニークな不斉合成への展開を計画し、オルト置換アリール基を有す光学活性なジアリール(gem-ジクロロシクロプロピル)メタノールの位置制御ベンズアヌレーションで軸(アトロブ)不斉を有するα-アリールナフタレンを合成できた。5例で不斉収率90%以上を達成した。これは、sp3不斉がら軸不斉へのユニークな不斉転写ペンズアヌレーションであり、同時に位置制御型ベンズアヌレーションの提案反応機構を支持する役割をもつ。 ◆新規シクロプロパンシフト型ペンズアヌレーション:これまで、多くの選択的ベンズアヌレーションを検討してきた。これらは全て、基質の置換様式に従い、シクロプロパンの結合2カ所(A or B)の高位置選択的開裂により開始される。クロロシクロブロパン誘導体を用いるベンズアヌレーションへの展開を計画し、その結果、従来とは全く異なる第3番目の結合Cの開裂を伴って、シクロプロパンが一旦シフトするユニークなベンズアヌレーションが選択的に進行することを見い出した。 注目すべきは、塩素の立体配置の違いにより、従来型およびシクロブロパンシフト型とかなり択一的に反応が進行することである。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Y.Yoshida and Y.Tanabe 他: "Regiocontrolled Carbonylsulfenylations at ortho-Position of phenols and at α-Position of Ketones Using Chlorocarbonylsulfenyl Chtoride" Hetevocycles. 50. 681-692 (1999)
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[Publications] Y.Yoshida and Y.Tanabe 他: "Practical and Efficient Methods for Sulfonylation of Alcohols Using Ts(Ms)Cl/Et_3N and Catalytic Me_3N・HCI as Combined Base:Promising Altemative to Traditional Pyridine" Tetrahedron. 55. in press (1999)
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[Publications] Y.Nishii and Y.Tanabe 他: "Dimethylation and Hydrodechlorination of gem-Dichlorocyclopropanes with Grignard Reagents Promoted by Fe(III)or Co(II)Catalyst" Synlett. 67-69 (1998)
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[Publications] 田辺陽・西井良典: "gem-ジハロシクロプロパンの特徴を活かした反応と合成:カチオン的ベンズアヌレーション" 有機合成化学協会誌. 57. 170-181 (1999)
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[Publications] 田辺 陽: "ベンズアヌレーション反応" 有機合成化学協会誌. 57. 224-224 (1999)