1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640657
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
亀田 恭男 山形大学, 理学部, 教授 (60202024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
臼杵 毅 山形大学, 理学部, 助教授 (70250909)
植村 治 山形大学, 理学部, 教授 (30007166)
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Keywords | 中性子回折 / 赤外吸収スペクトル / 同位体置換法 / 分子間水素結合 / 差スペクトル法 / 部分構造因子 / 濃厚酸水溶液 / O-D伸縮振動 |
Research Abstract |
H/D同位体置換法中性子回折を用いて、21mol%HCl水溶液、36mol%HNO_3水溶液および純水の構造解析を行なった。H/D同位体分率の異なる3種類の試料溶液から得られた干渉項を組み合わせる事により、H-H、H-XおよびX-X(X:O、ClまたはN)部分構造因子を導出した。さらに求めた部分構造因子に対して、最小二乗法を用いた解析を行い、溶液内水素結合構造を特徴付ける構造パラメータ、最近接原子間距離、配位数等を決定した。21mol%HCl溶液中の最近接O…H距離は1.69±0.02Åであり、純水中の値に比較して約0.2Aも短い事が明らかになった。さらにこの溶液の最近接H…H距離は純水中の値に比べて約0.4Å短い2.02±0.05Åであった。これ等の値は通常の水分子間水素結合構造ではあり得ない値であり、この溶液中に存在するオキソニウムイオン-水分子間の強力な水素結合に特有なものであると考えられる。これ等の結果は「第20回溶液化学シンポジウム(1997)」にて発表、また「Gordon Research Conferences,USA(1998)」にて発表予定である。さらにBull.Chem.Soc.Jpn.に投稿中である。本補助金により導入したフーリエ変換赤外分光光度計を用いて、4000≦ν≦8000cm^<-1>(0-H伸縮振動第2倍音領域)の波数範囲で、強酸水溶液の測定を行うための準備実験を行なった。その結果、厚さ1mmの石英製窓板と0.1mm厚テフロンスペ-サを用いる事により良好な吸収スペクトルが得られる事を確認した。さらに、O-D伸縮振動領域(2000≦ν≦3000cm^<-1>)で再現性良く差スペクトルによる解析が可能かどうかを調べる目的でATR測定装置(Geプリズム付)を新たに導入し、Zn(ClO_4)_2およびNaClO_4水溶液を用いた予備実験を行い、良好な差スペクトルが得られる事を確かめた。濃厚酸水溶液に対する吸収スペクトル測定およびデータ解析を現在行っている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Y.Kameda, T.Usuki and O.Uemura: "Hydrogen-Bonded Structure in Concentrated Aqueous Hydrochtoeic and Nitric Acid Solutions" Activity Report on Neufron Scattering Research (ISSP,Univ. Tokyo). 4. 161-162 (1997)