1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640660
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
太田 和親 信州大学, 繊維学部, 助教授 (70160497)
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Keywords | 液晶 / 金属錯体 / 金属錯体液晶 / メタロメゾ-ゲン / ゲル / リオトロピック液晶 / サーモトロピック液晶 |
Research Abstract |
ディスコティックカラムナ-液晶物質のビス[1,2-ビス(3,4-ジ-n-アルコキシフェニル)エタンジオン ジオキシマート]パラジウム(II)錯体は過飽和のn-ヘキサン溶液中でゲル化する。我々はこのゲルの構造を決定するためにX線回折用に特別なセルを開発した。このゲルは二次元のヘキサゴナル構造を持ち、これはリオトロピック液晶の逆ヘキサゴナル相と類似していることがわかった。このゲルと、ゲルを形成しないクロロホルム溶液の電子スペクトルを測定した。結果として、隣接パラジウムイオン間の4d_Z^2-5p_Z分子間電荷移動遷移がこのゲル形成の主たるドライビングフォースであることが明らかとなった。このゲルの円偏光二色性スペクトルと磁気円偏光二色性スペクトルは左巻きの螺旋の分子の積み重なりをしていることが示唆された。本錯体はまた、以前報告したように、サーモトロピック液晶状態を示す。従って、これらの三つの状態はお互いに分子会合体形成という観点から大変密接に関係していることがわかった。 以上のような、溶媒中の分子集合プロセスは、真空中二つの水素原子から一つの水素分子を形成したり、たくさんの異核原子からもと複雑な分子を形成したりする、原子集合プロセスに大変類似している。このような原子集合プロセスは量子化学によりよく記述することができる。一方、分子集合プロセスを詳細にまた一般的に記述する化学はまだ未発達である。したがって、本研究のゲル形成ディスコティックカラムナ-液晶性錯体はこの新しい分野に大いに貢献すると我々は確信するものである。
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