1998 Fiscal Year Annual Research Report
炭化ケイ素における3C→6Hへの相転移メカニズムと相転移に影響を及ぼす因子の解明
Project/Area Number |
09640663
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
徐 元善 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (30242829)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 豊 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (60023214)
桑原 勝美 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 講師 (40023262)
河本 邦仁 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30133094)
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Keywords | 炭化ケイ素 / 相転移 / 積層欠陥 / メカニズム / 粒成長 / 炭素還元法 / 転位 |
Research Abstract |
(1) 既存相転移メカニズムの問題点 SiC相転移メカニズムとして、X線を使用した古典的な研究により、転位メカニズムに起因する周期的なすべりメカニズムと転移面における原子の拡散再配列による変位メカニズムが提案されてきた。また・透過型電子顕微鏡を利用した最近の研究から周期的なすべりメカニズムにFrank-Readの転位増殖メカニズムを取り入れた転位メカニズムが報告されている。しかし、我々の高分解能電子顕微鏡の観察とX線を利用した実験によると、相転移前後の結晶の形態の変化は起こらないことが分かった。また積層欠陥が存在する部分での積層欠陥の拡散を通さず直接相転移が発生した所と、転移面で1/6[211]の転位が直接観察されたことは、既存メカニズムを用いては説明できないことを示唆する。炭化ケイ素における3C→6Hへの新しい相転移メカニズムの創成が要求される。 (2) 新しい相転移メカニズム 2000〜2200℃で熱処理した試料では相転移は起こらず、3C-SiC(100)単結晶を保持したまま、[100]方向へ発達した十字架模様の凸凹表面を形成した。2300℃以上の温度で熱処理した試料では、薄膜の形は壊れ、数十μmの十字架模様の粒子状で変形し、X線的には6H(103)面への相転移が起こった。3Cの(100)面から6Hの(103)面への相転移は、[SiC_4]正四面体のglideタイプの相転移を示唆する。3C-SiCに発生した1/6a_0[211]部分転移は、<110>軸方向における(111)積層面のa/3すべりとして観察された。周期的にある層のl/6a_0[211]移転と、それと連続する層の歪みと1/6a_0[211]転位によって3C-SiCはすべり面を中心に双晶を形成する。これがSiCの3C→6Hへの相転移の主たるメカニズムである。これらの転位は周期的に発生し、また可逆的に生成と消滅を繰り返して、結晶外部の大きな変化を起こさずに3C→6Hへの相転移が進行する。連続する二層の1/6a_0[211]転位は、全体的なshearが発生する特定のhabit planeや連続する三層以上のglide planeを形成しなくても結晶全体で容易に発生すると考えられた。
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[Publications] W.S.Soo,K.Koumoto,S.Arai: "Effects of B,C,and Fe Content on the Stacking Fault Formation during Synthesis of β-Sic Particles in the System SiO_2-C-H_2" J.Am.Ceram.Soc.81・5. 1255-1261 (1998)
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[Publications] W.S.Soo,K.Koumoto: "Stacking Fault and Growth Direction of β-Sic Whisker Synthesized by Carbothrmal Reduction" Key Engineering Materials. 159-160. 95-100 (1999)