1998 Fiscal Year Annual Research Report
多硫黄原子をもつ拡張π電子系配位子の非平面性金属錯体による多次元性伝導体の開発
Project/Area Number |
09640665
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Research Institution | Oasaka University |
Principal Investigator |
松林 玄悦 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90029182)
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Keywords | ジチオレート錯体 / シクロペンタジエニル錯体 / コバルト錯体 / チタン錯体 / スズ錯体 / 酸化 / 電導度 |
Research Abstract |
ジチオラト配位子に多くの硫黄原子を導入することによってπ電子系が拡張され、配位子内での酸化還元性が安定化される、エチレンジチオテトラチアフルバレンジチオラト配位子(C_8H_4S_8^<2->,etdt)を用いて、かさ高い金属錯体を合成した。これらの錯体では、固体状態において硫黄原子を介した多次元的分子間相互作用が拡大しうるので、特徴ある電導体が期待できる。相当するC_3S_5^<2->(dmit)配位子をもつ金属錯体についても検討した。 これまでに合成したη^5-C_5H_5あるいはη^5-C_5Me_5基を有するdmit-コバルト(III)錯体の臭素による酸化の反応過程を明らかにした。CO(η^5-C_5H_5)(C_3S_5)Brを結晶として得て、そのX線結晶構造解析を行い、また、磁性を測定して固体状態でC_3S_5配位子上の不対電子の錯体間反強磁性的相互作用を明らかにした。一方、CO(η^5-C_5H_5)(etdt)は低い電位で容易に酸化され、ヨウ素との反応によって得られる酸化体Co(η^5-C_5H_5)(etdt)I_3は高い電導度(0.19Scm^<-1>,室温、粉末加圧成型試料)を示した。また、THF中においてTi(η^5-C_5H_5)_2Cl_2とLi_2etdtを反応させてTi(η^5-C_5H_5)_2-(C_8H_4S_8)を合成し、溶液中においてその配位硫黄原子のところでの屈曲運動を^1HNMRスペクトルから明らかにした。ヨウ素と反応させて得られるl電子酸化体Ti(η^5-C_5H_5)_2(C_8H_4S_8)](I_3)_<0.9>の電導度は2.7x10^<-4>Scm^<-1>(室温、粉末加圧成型試料)であった。 etdt(CH_2CH_2CN)_2とNMe_4OHの反応から得た(NMe_4)_2etdtとSnCl_4 5H_2Oをエタノール中で反応させることにより、正八面体構造の[Sn(etdt)_3]^<2->錯体を合成した。類似の反応によって、[Sn-(dmit)_3]^<2->錯体を合成した。これらのイオン種は、エレクトロスプレーイオン化マススペクトルにより確認した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 森 博之: "Paramagnetic Organocobalt(III) Dithiolate Complex: Crystal Structure and Magnetic Property of Co(η^5-C_5Me_5)(C_3S_5)Br," Chemistry Letters. No.8. 729-730 (1998)
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[Publications] 中濱亜理: "Properties of Pt(II)-complexes Containing Both a Pyridyl N-N Chelate Ligand Having a Long Alkyl Chain and a Sulfur-rich Dithiolate Ligand and their Molecular Interactions in the Solid State" Inorganica Chimica Acta. 284・ 1. 55-60 (1999)
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[Publications] 森 博之: "Oxidation Properties of Co(η^5-C_5H_5)(C_8H_4S_8) and CoL(C_3S_5)(L=η^5-C_5H_5 and η^5-C_5Me_5) and C_8H_4S_8^<2->) and crystal structure of Co(η^5-C_5H_5)(C_3S_5)Br," Journal of Organometallic Chemistry. 574・1. 77-85 (1999)