1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640669
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Naruto University of Education |
Principal Investigator |
喜多 雅一 鳴門教育大学, 学校教育学部, 助教授 (20177827)
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Keywords | 二次不斉転換 / R-システイン / コバルト(III)錯体 / 反応速度 / 溶解度 / 活性化パラメーター / S-プロリルジチオカルバマト / クロム(III)錯体 |
Research Abstract |
本年度は二次不斉転換現象の本質の解明をめざして研究を行った。 (1)fac(S)-M_3[Co(R-cys)_3](M=Li^+,Na^+,K^+,Rb^+,Cs^+,1/2Ca^<2+>,1/2Sr^<2+>,1/2Ba^<2+>)のジアステレオ異性塩の溶解度の測定とこの系の溶液中でのΔ-Λの反転速度と熱力学的パラメーターΔG^○ ,ΔH^○ , ΔS^○ 及び活性化パラメーターΔG^≠,ΔH^≠, ΔS^≠の決定をおこなった。その結果,fac(S)-M_3[Co(R-cys)_3]は、なぜ、バリウム塩においてのみ、Λ(R,R,R)体の溶解度が、Δ(R,R,R)体の溶解度よりも小さくなり,また、溶存状態のΔ-Λの反転反応においてほとんどΔΛ間にエネルギー差がないこと,平衡状態も1対1に近いことを明らかにした。NMRおよび可視紫外吸収スペクトル、円偏光二色性(CD)から推定した溶存状態については,アミンプロトンとカルボキシル基の酸素原子の間の水素結合がラムダでは配位子間に存在し,Δ体では配位子内にあり,その水和状態にはあまりエネルギーの差がないので,溶解度は固相中での共存陽イオンとの相互作用におもに起因していることがわかった。SGIO_2ワークステーションを用いたSPARTANによる分子力場、分子動力学の計算の結果はこれらの考察を裏付けられた。 (2)他の系([ML_3]^<3->)での二次不斉誘導現象の有無の検討 3-の電荷を持ち、共存陽イオンの効果を検討できるジチオカルバマト誘導体N-(S-プロリル)ジチオカルバマト(S-prodtc^<2->)錯体[M(S-prodtc)_3]^<3->(M=Co^<3+>,Cr^<3+>)を新たに合成し,これらにおいてΔ-Λの反転と二次不斉転換を見いだした。
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