1997 Fiscal Year Annual Research Report
p-ブロック元素ポリアニオンクラスターの構造化学的研究
Project/Area Number |
09640676
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 正 東邦大学, 理学部, 助教授 (30171523)
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Keywords | テルル化アンチモン / Zintl相 / ^<121>Sbメスバウアー効果 |
Research Abstract |
pブロック元素同士が結合したクラスター骨格を持つZintl相とそれから誘導されるヘテロポリアニオンクラスターの結合と電子状態の研究を目的として,研究を進めた.出発物質となるSb_2Te_3を合成し,粉末X線回折により同定した.そのメスバウアースペクトルの異性体シフトは-6.2mms^<-1>であり,Sb(III)の領域にあり,InSbのような金属間化合物とは異なりアンチモンとテルルの間の結合は共有結合的であることがわかった.また四極結合定数は興味深いことに実験的に0mms^<-1>であり,正の大きな値を示すSb_2S_3などとは対照的であった.これはSb(III)の孤立電子対が立体化学的に不活性となっていることを示しており,結晶中でのSbの周囲にTeが等方的に存在することを示唆している.SbとTeの反応比を変えるとSbTeが得られるという報告があったのでこれも検討したが,粉末X線回折からも^<121>Sbメスバウアースペクトルからも,Sb_2Te_3とSbの混合物であり,SbTeは得られなかった. 合成したSb_2Te_3を用いて電解法でポリアニオンクラスターを得ることを試みているが,今のところメスバウアースペクトルを測定できるほどの試料が得られていない.溶媒中の微量の水の除去と完全な不活性雰囲気下での電解ができないことがその原因と考えられ,現在方策を検討している. LiSbTe_2およびK_3SbTe_3の合成を文献記載の方法で試みた.この方法は石英管の中で真空下,融解し直接反応させて行うものである.何回か繰り返して合成を検討したが,いずれも石英管とアルカリ金属の反応が激しく進行し,目的の物質は得られなかった.そこでタンタル管中で反応を行うべく,準備を進め取り掛かれる状態にまで達した.
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