1998 Fiscal Year Annual Research Report
pブロック元素ボリアニオンクラスターの構造化学的研究
Project/Area Number |
09640676
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
高橋 正 東邦大学, 理学部, 助教授 (30171523)
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Keywords | Zintl化合物 / 金属間化合物 / ^<121>Sbメスバウアー効果 / メスバウアースペクトル |
Research Abstract |
p-ブロック元素同士が結合したクラスター骨格をもっZintl化合物とそれから誘導されるヘテロポニアニオンクラスターの結合と電子状態の研究を目的として,研究を進めた.平成10年度は,昨年度合成できるようになったSb_2Te_3をカソードに用いて,ヘテロポリアニオンクラスターの合成を試みた.種々の電解条件を検討したが,結局目的の化合物を得ることはできなかった. Zintl化合物には多様な結合様式がみられそれ自体が興味深いので,研究対象として取り上げた.このために,Zintl化合物の合成条件の検討から始めて,合成をおこなった.アルミナ製の容器を用いて,調和融点を持つものは化学量論比の成分元素を含む融体から結晶化させることで,K-Sb,Na-Sb系のZintl化合物(M_3Sb,MSb,KSb_2),Mg_3Sb_2およびCaZn_2Sb_2を得た.遷移金属との二元系化合物CU_3Sb,CU_2Sb,Ag_3Sb,AUSb,ZnSb,Zn_4Sb_3なども,成分元素の融体から結晶化させて得た. Zintl化合物の^<121>Sbメスバウアースペクトルから,M-Sb系(M=Na,K)において,M_3SbのアンチモンはSb^<3->で表されるイオン性の化合物であるのに対して,MSbではアンチモン原子間の共有結合性が大きく,負電荷はおもにアンチモンの5p軌道が受け持っていることが明らかになった.同様のことは,KSb_2についても推定できた.アンチモンが受けとった負電荷の数は,MSb_2<MSb<M_3Sbであることもメスバウアースペクトルから確認できた.アンチモンと遷移金属の金属間化合物では,アンチモンと遷移金属間の共有結合性が大きいことも明らかになった.
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