1998 Fiscal Year Annual Research Report
定序配列・低エネルギーギャップ型高次ヘテロ環π共役オリゴマーの構築
Project/Area Number |
09640703
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
田中 彰治 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20192635)
|
Keywords | 分子スケールエレクトロニクス / 単一分子デバイス / 分子ワイヤー / 分子スイッチ / オリゴマー / チオフェン / 多段階酸化環元素 |
Research Abstract |
1. 単一分子物性計測に対応した高次オリゴマの合成:単一分子鎖の電子輸送理論の検証において、低エネルギー・ギャップ型分子ワイヤの重要性が、近年とみに明らかになってきた。本研究では、昨年度までに開発した「絶縁層付き剛直・共平面型チオフェン4量体ユニット」と各種機能分子ユニット(各種へテロ環2-3量体;今年度はピロール環を含むものに重点を置いた)とのカップリング反応により、電子機能部位や分子鎖の配座を様々に変化させた一連の低エネルギーギャップ型・定序配列へテロ環10-11量体(分子量〜2800)の精密合成を進めた。その物性測定結果と分子軌道計算結果から、長鎖π共役系における電子構造の系統的かつ広域コントロールについて定量的な知見を得た。また、高次オリゴマーの「ウエット・プロセスによる基板への精密配置」は、分子スケールデバイス構築の基盤技術の一つであると考えられる。これに関連して、本年度は脱離可能な可溶性置換基を高次オリゴマーに導入し、その基板上への精密配置後に可溶性置換基部位を除去する手法: MMDS(Macro Molccular Delivery System)についても検討を開始した。2. 単一分子エレクトロニクスの統合的研究指針に関する検討:単一分子エレクトロニクスにおいては、巨視的物質系/ナノスコピック・インターフェース系/機能分子系からなる統合的機能システムの設計が肝要となる。この課題の学際性は極めで高く、在来の学協会の枠組みを越えた研究組織の新規編成が必須と判断した。そのため、「第一回分子スケールエレクトロニクス・ワークショップ」を主催し、日本化学会、日本物理学会、応用物理学会、高分子学会、電気化学会、日本表面科学会、有機合成協会、光化学協会に拠点を置く研究者らと統合的なナノ機能分子システム創出のための設計戦略について検討を行った。詳細は、報告書にまとめる。
|