1997 Fiscal Year Annual Research Report
金属アミノ酸錯体の水素結合特性を利用した新しい分離用担体およびイオノフォアの開発
Project/Area Number |
09640720
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中田 隆二 福井大学, 教育学部, 助教授 (80143931)
|
Keywords | コバルトアミノ酸錯体 / ホスト化合物 / 化学結合型シリカゲル |
Research Abstract |
本研究では、配位子の一つを酸性(または塩基性)アミノ酸として含むトリス型混合アミノ酸コバルト(III)錯体と、液体クロマトグラフ(LC)用充填材を含む各種化合物との間に安定な共有結合を生成させ、新しい分離・検出用のホスト化合物としての錯体の可能性を調べることを目的としている。今年度は、本研究に必要な錯体の合成・分離法ならびにシリカゲル表面への修飾法を中心に検討し、以下の結果を得た。 1,グルタミン酸を一配位子として含む混合アミノ酸コバルト(III)錯体の合成について検討したところ、トリカルボナト錯体とグリシンを反応させて得られたK[Co(gly)_2CO_3]に、グルタミン酸を穏和な条件下で反応させることによって、[Co(gly)_2(glu-H)]や[Co(gly)(glu-H)_2]を得ることができた。しかしながら、生成物には複数の構造異性体が含まれ、分離・精製が容易でなく、単一種の収率事態も10%以下と良くないため、エチレンジアミンやシュウ酸イオンを配位子として含んだイオン型錯体など、他の錯体の合成も含め、さらに検討を進めている。 2,1で得られた錯体を、ジメチルホルムアミド(DMF)中、カルボジイミドを縮合剤として、アミノプロピル基修飾シリカゲルに結合させ、錯体修飾型シリカゲルを得た。この一部を分解処理し、遊離したコバルトイオンを原子吸光分析法で定量することにより錯体の被覆率を計算したが、アミノプロピル基の被覆率から期待される値よりはかなり小さくなった。この原因としては、錯体のDMFへの溶解度が小さいことがまず考えられるので、より溶解度の大きい溶媒あるいは錯体の利用について検討を進めている。 次年度は、錯体結合型シリカゲル充填材を用いて、各種物質のLC挙動について検討を進めると共に、オクタデシル基などの長鎖アルキル基を錯体に導入し、イオノフォアとしての特性についても検討を進める予定である。
|