1998 Fiscal Year Annual Research Report
ゾーン電気泳動法による中性子捕捉療法用ホウ素化合物の錯形成反応に基づく分離の研究
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09640725
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
北岡 祥伯 京都大学, 原子炉実験所, 助手 (00027426)
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Keywords | ゾーン電気泳動 / パラボロノフェニルアラニン / クエン酸 / イソクエン酸 / シュウ酸 / 錯形成反応 / フルクトース / アコチニン酸 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、パラボロノフェニルアラニン(p-BPA)とオール類、オキシカルボン酸類およびカルボン酸類との錯体形成反応を、スリースポット法で検討した。 0.1MNaClを含む水性エチレングリコール、プロピレングリコール、またはフルクトース溶液を支持溶液として、p-BPAを泳動させると、カチオン側への短い泳動か、殆ど泳動しなかった。ところが、p-BPAとフルクトースとをアルカリ性で反応させた試料溶液を、リン酸の中性溶液中で泳動させると、アニオン性の泳動が、初めて観測された。この事実は、一般に言われているような負荷電のフルクトースとの錯体をp-BPAが形成したと考えている。 二塩基酸であるシュウ酸中では、アニオン性の泳動が見られたが、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、酒石酸中ではアニオン性の泳動は見られなかった。また、三塩基酸であるクエン酸やイソクエン酸中ではアニオン性泳動が見られた。しかし、二重結合を有するフコチニン酸やベンゼン核を有するトリメシン酸中ではアニオン性の泳動は見られなかった。p-BPAのシュウ酸とのアニオン形成能を利用して、通常の電気泳動では分離の困難なフェニルアラニンやチロシンから、p-BPAを簡単に分離した。 錯体を、エーテル型およびエステル型に分類し、それぞれのpH値に対する安定度を検討している。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Yoshinori Kitaoka: "Zone Electrophoretic Behavior of p-Dihydroxyborylphenylalanine and Electric Current in Aqueous Ethylene Glycol Containing Sodium Chloride" KURRI Progress Report 1997. 147 (1998)
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[Publications] Yoshinori Kitaoka: "Electrophoretic Behavior of p-Dihydroxyborylphenylalanine in Aqueous.Carbohydrates and Its Derivatives Containing Sodium Chloride" KURRI Progress Report 1997. 148 (1998)
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[Publications] Yoshinori Kitaoka: "Electrophoretic Behavior of p-Dihydroxyborylphenylalanine in Tricarboxylic Acid Supporting Solutions" KURRI Progress Report 1997. 149 (1998)
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[Publications] 北岡祥伯: "ゾーン電気泳動法による含ホウ素化合物とOH基およびまたはCOOH基を有する化合物との相互作用の研究" 日化74年会講演予稿集. 1. 357 (1998)
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[Publications] 北岡祥伯: "スリースポットゾーン電気泳動法によるパラボロノフェニルアラニン錯体形成反応の研究" 京大原子炉第33回学術講演会報文集. 165-170 (1999)
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[Publications] 北岡祥伯: "パラボロノフェニルアラニンとオール類、オキシカルボン酸類、およびカルボン酸類との相互作用のスリースポットゾーン電気泳動法による研究" KURRI-KR-26. 84-90 (1998)
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[Publications] 北岡祥伯(編集): "“ホウ素化合物の科学と^<10>B中性子捕捉療法"専門研究会報告書" 京都大学原子炉実験所, 107 (1998)