1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640737
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
沓掛 和弘 広島大学, 生物生産学部, 教授 (90143362)
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Keywords | 細菌鞭毛 / 転写制御 / 輸送制御 / 蛋白質輸送 / 輸送ゲート / シグナル伝達 |
Research Abstract |
これまでの研究から、転写制御装置としての細菌鞭毛は、フック構造の完成をモニターしてその情報を細胞内に伝達するフック完成シグナル伝達系と、そのシグナルに応答してFlgM輸送のスイッチをOFFからONに切り替えるFlgM輸送ゲートの2つのシステムからなりたっていることが明らかとなっている。本年度の研究は、それぞれのシステムの作用機序について解明することを目的として行われた。 1.フック完成シグナル伝達系の解析:フック完成シグナルを構成的に発生する突然変異体3株を単離した。これらはいずれも鞭毛基体のロッド構造構成蛋白質であるFlgGのミスセンス突然変異体であった。電子顕微鏡観察の結果、これらの突然変異体ではロッド構造が異常に伸長して、野生株のロッドとフックを加えた長さに達していることが判明した。この結果は、フック完成のモニター系は、フックの長さではなく、ロッド基部から形成中の鞭毛構造の先端部までの長さを測定していることを示唆するものであり、モニター分子は100nm以上の長さをもつもであると推定される。 2.FlgM輸送ゲートの解析:FlgM輸送ゲートの閉門はフック完成時に起こるので、フック蛋白質輸送ゲートの閉門と共役しているものと仮定されていた。フック構造形成が完成した段階で鞭毛形成が停止するfliC、fliD、fliK,fliL突然変異体について、フック蛋白質輸送の有無を解析したところ、いずれの突然変異体でも輸送が見られることが判明した。このことは、フック構造が完成してフック伸長が停止するのは、フック蛋白質輸送が停止するためではないことを意味している。フック伸長の停止には、未同定のフックターミネーター蛋白質が関与し、これがFlgM輸送ゲートを通って輸送されることがフック伸長の停止を引き起こすものと推定される。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Ide,N.: "Identification of a novel Escherichia coli gene whose expression is depdndent on the flagellum-specific sigma factor, FliA, but dispensable for motility development" GENE. 199. 19-23 (1997)
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[Publications] 沓掛 和弘: "転写制御装置として機能する細菌鞭毛" 化学と生物. 35. 828-834 (1997)
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[Publications] Minamino,T.: "Role of the FlhA protein in the export process of flagellar proteins in Salmonella typhimurium" GENES&GENETIC SYSTEMS. 72. 380 (1997)
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[Publications] Kubo,T.: "Role of the FlgD protein in the flagellar hook formation of Salmonella typhimurium" GENES&GENETIC SYSTEMS. 72. 380 (1997)
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[Publications] Yamamoto,S.: "Role of the FliS protein in the flagellum-specific export process of Salmonella typhimurium" GENES&GENETIC SYSTEMS. 72. 381 (1997)
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[Publications] Ikebe,T.: "Role of the fliZ gene in the transcriptional control of the flagellar regulon of Salmonella typhimurium" GENES&GENETIC SYSTEMS. 72. 381 (1997)