1998 Fiscal Year Annual Research Report
安定からカオスへ:1寄主-2寄生蜂実験系のニッチ分化とカオス生成機構の解析
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09640747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
嶋田 正和 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (40178950)
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Keywords | 系の安定性 / 持続性 / 個体群動態 / 寄主-寄主蜂系 / 寄生干渉作用 / 寄生効率 / 数値シミュレーション / カオス的挙動 |
Research Abstract |
マメゾウムシー寄生蜂系を対象に、2種の寄生蜂の寄生行動の差違がどのように複雑なダイナミクスを生成するか、特に、寄主のアズキゾウムシの空間分布に着目して、その機構を実験・数値シミュレーションにより解析した。資源の空間分布として、1カ所の大きな資源パッチに固まって分布している集中型と、16の小さな資源パッチに均等分布している散在型の2種類の実験条件を設けた。 その結果、集中型分布では散在型分布よりも、長期的動態の観測において、構成種の平均個体群サイズが大きく、個体数の変動も小さくなり、より安定した永続性の高い動態が見られた。また、短期的実験では、一方の寄生蜂(コマユバチ)の方が他方(コガネコバチ)よりも、寄生干渉作用が小さく、行動録画の解析からも、重複寄生を避ける長距離歩行をしばしば示し、この高すぎる寄生効率が返って系を不安定にしていることが示唆された。そこで数値モデルを構築し、アズキゾウムシとコマユバチの現実的なパラメタ値で寄生効率をいろいろ変えて、バイファーケーションを計算してみると、高すぎる寄生効率は確かに動態を不安定にすることが分かった。
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[Publications] H.C.J.Godfray and M.Shimada: "Parasitoids as model organisms for ecologists" Res.Popul.Ecol.41・1. 5-12 (1999)
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[Publications] M.Shimada: "Population fluctuation and persistence of 1 host-2 parasitoid systems depending on resource distribution : from parasitizing behavior to population dynamics" Res.Popul.Ecol.41・1(印刷中). (1999)