1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640748
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
曽田 貞滋 信州大学, 理学部, 助教授 (00192625)
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Keywords | 交雑 / オサムシ / 分子系統 / 遺伝子浸透 / 種間相互作用 / 共存機構 / 形態分化 |
Research Abstract |
本年度の主な研究成果は以下の通りである。 1.交雑実験 アオオサムシ種群のアオオサムシとミカワオサムシとの交雑を通しての相互作用の解明のため、昨年度から行っている交雑実験の継続として,F1同志の交配および親種への戻し交雑実験を行った。その結果,F1雄はほとんど不妊であり,F1雌は親種雄との戻し交雑によって子孫を残すことが分かった。また,同種群のイワワキオサとマヤサンオサの交雑実験では,F1同志の交配および戻し交雑によって子孫ができることが分かった。 2.形態解析 オオオサムシ亜属の共存に重要と考えられる体サイズ分化についての解析をおこなうために,1万頭以上の標本測定に基づくデータベースを作成した。 3.系統関係の推定 アオオサムシ種群のアオオサムシ,ミカワオサムシ,および両者の交雑に由来すると推定される集団についてミトコンドリアDNAのND5領域についての塩基配列決定と制限酵素断片長多型解析を行った。その結果,ミカワオサムシからアオオサへのミトコンドリアの移入が起こっていること,交雑帯周辺での塩基配列の分化がほとんどないことから,交雑はごく最近起こったものと推定された。また,オオオサムシ亜属全種について,ミトコンドリアDNAの16rDNA領域,核DNAの4つの遺伝子またはイントロン領域について塩基配列を決定し,系統推定を行った。その結果,核遺伝子の系統樹は従来の形態分類と大きく異ならないものであることが分かり,ミトコンドリアDNAの系統樹は,おそらく交雑によるミトコンドリア移入の影響によって,真の系統関係とは異なる系統樹を示しているものと推定された。
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[Publications] Kubota,K.& T.Sota: "Hybridization and speciation in the carabid beetles of the subgenus Ohomopterus (Coleoptera,Carabidae,genus Carabus)" Researches on Population Ecology.