1998 Fiscal Year Annual Research Report
寄主植物の化学防衛と寄生蜂の攻撃が介在した,潜葉虫の生態・行動の進化
Project/Area Number |
09640750
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 真 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助教授 (80204494)
|
Keywords | 潜葉虫 / 潜葉様式 / 寄生蜂 / 生態 / 行動 / 群集 |
Research Abstract |
日本各地の植物上で潜葉虫の潜孔を採集し,そのさく葉標本を作成するとともに、潜孔内に潜葉虫が入っている時には,それを生かしたまま持ち帰り,飼育をして成虫または寄生蜂を羽化させた.調査地域は、北海道、本州、九州各地から、五島列島、奄美、沖縄、宮古、八重山などの島嶼に及んだ。潜葉虫はまだ分類が終わっていない分類群が多く,潜孔とその成虫とを一致させた。得られたものの中には成虫も幼虫も潜葉するタコノキハモグリキクイムシをはじめ、興味深いさまざまなものが発見された。五島列島のクロイゲに潜葉するホソガ、コケ類に潜葉するハモグリバエなどを発見し、新種記載の準備をした。 潜葉虫のいくつかの種は寄主植物の化学防衛を抑制するような潜孔様式を持つが、その一例としてミバエの1種Vidalia montivagaに注目し、その潜葉行動が化学防衛打破にどのようにかかわっているかを実験的に調査した。この潜葉虫はまずはじめに葉脈を線状に横断し、その部分から先を変色させてから、変色部を面状に潜孔する。潜孔の先と基部とで高速液体クロマトグラフィーを用いて化学物質の測定を行なったところ、葉脈横断前後で顕著に変化する物質の存在が明らかになった。今後、この物質の特定をめざしている。あわせて、このような葉脈横断をする潜葉虫類の行動学的解析も現在並行させて進行させている。 さらに、個体数がたくさん得られる潜葉虫を使って,島嶼と本土における寄生率と寄生蜂群集の比較を行なった.スイカズラハモグリバエは申請者が長期個体群動態を調査してきた潜葉虫であるが,この潜葉虫の寄生蜂群集を都市近郊から自然林に至るさまざまな面積の残存植生で調査した.また、スイカズラ科植物の潜葉虫群集と寄生蜂群集の地理的変異という観点においても、現在、調査を進めている。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Kato Makoto: "Unizue leafmining hehit in the fark beetle clade:a new tribe,genus,and species of Platypodidae(Colsoptera)touid in the Bonn lsland" Annuals of Entonoboge cal Society of Amoirica. 97. 71-80 (1998)
-
[Publications] Kato Makoto: "Morphological and ecological adaptations in montacutid biralies endo-and ecto-symbiotic with holothurians" Canadian Journal of Zoology. 76. 1403-1410 (1998)