1998 Fiscal Year Annual Research Report
根の重力屈性の信号伝達系におけるオーキシンの可逆的代謝反応
Project/Area Number |
09640762
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
鈴木 隆 山形大学, 教育学部, 教授 (70134145)
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Keywords | インドール酢酸 / オーキシン / カルシウムイオン / 重力屈性 / 信号伝達系 / 根 |
Research Abstract |
根の重力屈性の研究では、根冠アポプラストにおける遊離型Ca^<2+>の動向が注目を浴びている。しかし、遊離型Ca^<2+>が、どのようにして屈曲を誘導するかは明らかになっていない。原因の一つは、組織間信号伝達物質が同定されていないためである。我々は、候補として拡散性IAAの可能性、しかし根冠では拡散性IAA量が非常に少ないことを明らかにした。これらは、重力信号伝達系にアポプラストにおけるIAAの可逆的代謝反応が関与している可能性を示唆している。本研究は、アポプラストにおける拡散性IAAと結合型IAAの動向、さらに、これらの動向とCa^<2+>の関係を解析し、重力の信号伝達系におけるIAAの可逆的代謝反応とCa^<2+>の役割を明らかにすることを目的としている。今年度は、トウモロコシの一次根を材料にして、1) 重力刺激と結合型IAAの動向、2) 結合型IAAの動向に及ぼすCa^<2+>の影響、の2点について調べた。IAAは、考案したインドロ-α-パイロン法と蛍光検出フローインジェクション分析法を組み合わせた系により定量した。一定時間、重力刺激を与えた一次根を、先端から3mmを1mm毎に切除し、これらの切片における細胞壁中の結合型IAA含量を調べたところ、0-1mm切片区においてのみ重力刺激による結合性IAA含量の減少が観察された。そこで、IAAの可逆的代謝反応とCa^<2+>の関わりを明らかにするため、根端0-1mm切片を用いてEGTAの影響を調べた。EGTA処理区では結合型IAA含量が増加し非結合型IAA(この一部が拡散性IAAとして移動する)は減少した。さらに、EGTA処理した切片にCa^<2+>を加えた区では、結合型IAA含量が減少し非結合型IAAは増加した。これらの結果は、IAAの可逆的代謝反応にCa^<2+>が関与している可能性及び根の重力屈性の重力信号伝達系にアポプラストにおけるIAAの可逆的代謝反応が存在している可能性を示唆している。
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Research Products
(1 results)