1998 Fiscal Year Annual Research Report
植物の細胞膜リン脂質組成の遺伝子工学的改変とその凍結耐性における意義
Project/Area Number |
09640763
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 生郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (40189288)
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Keywords | ホスファチジルコリン / 凍結耐性 / シロイヌナズナ / ヒスタミン |
Research Abstract |
1. 野生型酵母のECT遺伝子を破壊した変異株INY104(MATaCHO1Δ::HIS3 ECTΔ::LEU2/YCpGPSS)を単離するために、ECTΔ::LEU2遺伝子断片を作成し、酵母INY102B(MATaCHO1Δ::HIS3leu2/YCpGPSS)を形質転換した。その結果、Leu+でかつエタノールアミン要求性を示さないものを16株単離した。しかし、サザンハイブリダイゼーション法により遺伝子破壊を確認した結果、遺伝子破壊がおこったものは、そのうちの2株であり、また、これらも、培養中に遺伝子破壊が復帰することがわかった。なぜ、ECT遺伝子の破壊が不安定であるのか、その理由はまだわからない。 2. INY102Bをナタネの根由来のcDNAライブラリーで形質転換したところ、グルコース培地でも生育可能な株が100株単離された。このうちの16株について塩基配列を決定した。その結果、これらはすべて、グループ2型アミノ酸脱炭酸酵素であるヒスチジン脱炭酸酵素と高い相同性を示すことがわかった。ヒスチジン脱炭酸酵素は、ヒスタミンを合成する酵素である。従って、本研究によりはじめて、植物の根でヒスタミンが合成される可能性が示唆された。 3. ナタネCCTを遺伝子導入した形質転換シロイヌナズナを14系統作出した。このうち一系統について、シロイヌナズナの凍結に伴う電解質の相対溶出率を指標にして、凍結耐性を調べた。50%の相対電解質溶出率を示す温度は、野生型シロイヌナズナでマイナス6℃、CCT形質転換植物でマイナス7℃、コントロール形質転換植物でマイナス7℃であった。
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