1997 Fiscal Year Annual Research Report
シロイヌナズナのホメオボックスを持つ遺伝子ANL2の機能解析
Project/Area Number |
09640766
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
久保 浩義 信州大学, 理学部, 講師 (60205127)
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Keywords | アントシアニン / シロイヌナズナ / ホメオボックス / トランスポゾンタギング / 形態形成 |
Research Abstract |
本実験では、トランスポゾンタギングで単離したANL2遺伝子の機能を解析することを目的とした。ANL2遺伝子はホメオボックスを持つ遺伝子であることがわかっている。さらに、予備的観察においてアントシアニンの蓄積部位が、野生型では葉の表側では第2層の葉肉細胞に蓄積するのに対して葉の裏側では表皮細胞に蓄積すること,またanl2変異体においては、葉の裏側でのアントシアニンの蓄積はそれほど影響されないが葉の表側のアントシアニンの蓄積は抑制されることが示されていた。そこで、この観察をさらに確かなものとするため、科研費で購入したマイクロスライサ-を用い、葉、茎、根の切片を作成しより詳細に観察をおこなった。この観察により、アントシアニンの蓄積に関しては予備的観察結果が裏付けされたと同時に、さらにanl2変異体では根の細胞の並び方が異常になるということが明らかになった。このことはANL2がホメオボックス遺伝子であることと合わせて考えると、ANL2が形態形成に関与した遺伝子であることを示唆している。すなわち、ANL2遺伝子は形態形成の過程を通してアントシアニンの部位特異的な蓄積に関与しているが示唆された。アントシアニン合成系酵素であるカルコンシンターゼの発現をノザン法で調べたところ、野生型とほとんど同程度の発現が見られた。ANL2のmRNAは発現量は低いせいかノザン法で検出できなかったため、RT-PCR法による検出を試み実験条件がほぼ確立した。今後各器官等での発現を調べる予定である。また、5'RACE法により転写開始点を同定し、現在ANL2のプロモーターにGUSをつないだ融合遺伝子を導入した植物を作成中である。
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