1997 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻の高親和性炭酸水素イオン能動輸送体の構造と機能の研究
Project/Area Number |
09640768
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小俣 達男 名古屋大学, 農学部, 教授 (50175270)
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Keywords | 炭酸水素イオン輸送系 / CO_2濃縮機構 / 能動輸送 / ABCトランスポーター / 基貨結合タンパク質 / ラン藻 |
Research Abstract |
本研究の目的は、ラン藻SynechococcusPCC7942の高親和性CO_3^-能動輸送体を構成するCmpA,B,C,Dの4つのタンパク質のうち、CmpAとCmpCの構造と機能の関係を解明することである。2年計画の第1年次にあたる平成9年度はCmpAについて研究を進め、以下の成果を得た。 1.CmpAは推定アミノ酸配列上は親水性タンパク質であるが、N末端部に共有結合脂質を有するタンパク質に特徴的なシグナルペプチドをもち、細胞膜に強固に結合している。そこで、CmpAからリポタンパク質型のシグナルペプチドを除き、かわりにヒスジンタグを付加したタンパク質(CmpA^*と呼ぶ)を大腸菌に発現させたところ、CmpA^*は可溶性タンパク質として回収された。このことから、CmpAは結合脂質を介して膜に結合するリポタンパク質であると推定した。 2.平衡透析法による解析によって、CmpA^*がHCO_3^-を特異的に結合し、その解離定数が50μM未満であることを明らかにした。このことから、CmpAはCmp輸送体の基質結合タンパク質であると結論した。ただし、平衡透析法では空気からのCO_2の混入の影響があるので、解離定数の精確な決定は第2年次にマススペクトル法によって行うこととした。 3.SynechococcusPCC7942はCmp輸送体以外にも複数のHCO_3^-輸送体をもち、細胞を低CO_2条件にさらしてCmp輸送体を誘導すると、他のHCO_3^-輸送体も誘導されてCmp輸送体の活性を特異的に測定することが困難である。そこでcmpABCDオペロンのプロモータを硝酸同化オペロンのものと置換して高CO_2条件下でCmp輸送体を発現させ、その活性を特異的に測定できる実験系を構築した。第2年次にはこの系を用い、サブユニットの改変によるCmp輸送体の活性の変化を解析する予定である。
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