1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640773
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
関根 政実 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助手 (70226653)
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Keywords | サイクリン / Cdc2 / 細胞周期 / Rbタンパク質 |
Research Abstract |
1.タバコサイクリンD遺伝子の発現様式を解析した。昨年度、タバコから4種類のサイクリンD遺伝子(NtcycD3)の単離に成功したことから、本年度は各遺伝子の発現様式を解析した。まず、同調培養系を用いて細胞周期に伴う遺伝子発現を調べた結果、NtcycD3-1とD3-3は細胞周期に関わらずほぼ一定に発現が見られたが、D2-2aとD2-2bではG2期からM期、またはGl期からS期に発現が高くなることが明かになった。動物のサイクリンD遺伝子は細胞周期に依存せず、成長因子に依存して発現することから、植物のサイタリンD遺伝子は動物とは異なる発現制御を受けることが示唆された。また、D2-2aとD2-2bは植物ホルモンに応答して発現することも明かになり、成長調節因子からサイクリンD遺伝子に至るシグナル経路の存在が示唆された。2.タバコサイクリンDはCdc2と結合し、Rbタンパク質をリン酸化することを解析した。動物ではGl期からS期の移行にRbタンパク質が抑制的に働いており、サイクリンD/CDK(サイタリン依存性キナーゼ)がRbタンパク質をリン酸化することでS期進行の準備が開始される。これまで植物のRbタンパク質をリン酸化するCDKの実体は不明であったが、私たちはサイクリンDとCdc2の複合体が、少なくてもin vitroでタバコRbタンパク質をリン酸化することを証明した。すなわち、バキュロウイルス発現系を用いて4種類のタバコサイクリンDとCdc2を発現させたところ、すべての組み合わせで複合体を形成し、Rbタンパク質をリン酸化する活性を示した。今後は植物細胞内でも複合体を形成し、キナーゼ活性を持つことを証明したい。
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