1997 Fiscal Year Annual Research Report
フラボノイド生合成遺伝子の発現によるマメ科植物の環境微生物適応機構
Project/Area Number |
09640782
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
綾部 真一 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (40050679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 俊夫 日本大学, 生物資源科学部, 助手 (80287606)
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Keywords | マメ科植物 / フラボノイド / 植物-微生物相互作用 / クローニング / Glycyrrhiza echinata / Lotus japonicus / Cytochrome P450 / Methyltransferase |
Research Abstract |
マメ科植物と環境微生物との相互作用において宿主側の機能物質であるフラボノイドの生合成と調節について知見を得るため,機能に適した化学構造の構築に関わる酵素遺伝子のクローニングと酵素の実体の解明を試みた。 1.異種真核細胞で発現させたマメ科カンゾウ(Glycyrrhiza echinata)の新cytochrome P450遺伝子の産物が,(2S)-flavanone 2-hydroxylase活性を示した。本酵素は,共生窒素固定細菌に対するマメ科植物のシグナル物質に見られるフラボンの骨格や,エリシターにより誘導されるレトロカルコン合成の重要な段階を触媒することが判明した。 2.カンゾウ細胞のレトロカルコンは、アルファルファと共生窒素固定細菌の間で働くシグナルのメトキシカルコンと構造が類似している。カンゾウのメチル転移酵素cDNA(GeOMT)より発現させたタンパクは,レトロカルコン・メトキシカルコン両者の合成に関与する触媒機能を持ち,レトロカルコン系のみに活性を持つ粗酵素とは異なっていた。この原因のひとつがカンゾウ粗酵素液中でのメトキシカルコンの急速な分解であると推定された。レトロカルコン系のメチル転移酵素の実体をさらに明確にするため,タンパクの精製を継続中である。 3.カンゾウ細胞に対するエリシターを検索した結果,酵母エキスとジャスモン酸メチルによる強度や経時変化の異なるレトロカルコン合成応答をはじめ,様々のフラボノイド生成誘導が観察され,微生物に対応したフラボノイド生産の機構の研究に有用な系であることが認識された。 4.分子遺伝学的解析のためマメ科のモデル植物ミヤコグサ(Lotus japonicus)より、フラボノイド生合成の一連の酵素遺伝子のPCR断片ををクローニングした。その中には対微生物活性が知られるイソフラボノイド系や,環境応答の因子であるアントシアニン系の遺伝子が含まれており,今後の機能解析が期待される。
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Research Products
(1 results)