1997 Fiscal Year Annual Research Report
細胞性粘菌の分枝構造の形成に関与する遺伝子のクローン化とその解析
Project/Area Number |
09640786
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
田仲 可昌 筑波大学, 生物科学系, 教授 (80091908)
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Keywords | 細胞性粘菌 / Polysphondylium pallidum / insertional mutagenesis / gene tagging / morphogenesis / development / fruiting body |
Research Abstract |
Polysphondylium pallidumは、子実体が車軸上で枝分かれ構造を形成する細胞性粘菌である。最近、我々はこの生物でinsertional mutagenesis法を確立した。このgene tagging法を用いて、この生物で分枝構造の形成が異常になった突然変異体を作成し、その中で、形質が安定しており、かつ、挿入されたベクターDNA断片を容易に単離出来る株について、さらに詳しく調べた。 PPL1と名付けた株では、枝分かれ構造を全く作らない子実体を形成した。この株では、挿入されたベクターDNA断片の近くに、575アミノ酸からなるORFが存在していた。このタンパク質は既知のタンパク質との相同性は見つからなかった。このORFの遺伝子の発現を、野生株と変異株で調べたところ、野生株では3kbのmRNAが発生開始後12時間目に増加するパターンを示したが、変異株では、このmRNAは全く発現していなかった。現在、このORFが変異の原因遺伝子であるかどうかを、この生物ではかなり容易に行える相同組換えを用いて調べつつある。 また、枝の長さが野生株より長い変異体を得て、挿入されたベクターDNA断片の近傍を解析したところ、2つのイントロンを持つ、206個のアミノ酸からなる膜タンパク質が見つかった。現在相同組換えを用いて調べつつある。そのほか、子実体の主軸に細胞の一部が細胞塊として残ったままになる変異体2株や、主軸が太く、まっすぐ伸びない株や、枝の長さが野生株より短い変異体を得ており、現在詳しく解析中である。
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