1998 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性K^+チャネルにおける不活性化機構に関する研究
Project/Area Number |
09640810
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
古川 康雄 広島大学, 理学部, 助教授 (40209169)
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Keywords | イオンチャネル / 不活性化 / 分子機構 |
Research Abstract |
電位依存性K^+チャネルにおける不活性化過程の分子機構を明らかにする事を目的とし、アメフラシの電位依存性K^+チャネルのうち、顕著な不活性化を示すaKv1.1aと全く不活性化を示さないaKv5.1、及びaKv1.1aとアミノ酸レベルでの相同性が高いラットの電位依存性K^+チャネルであるrKv1.4を選び、分子生物学的手法による変異体チャネル作成とアフリカツメガエル卵を発現系とした機能解析実験を平行して行う事で、不活性化過程の解析を試みた。 aKv1.1aとrKV1.4は蓄積的不活性化と呼ばれる現象を示すが、無細胞パッチ記録においては、aKv1.1aの蓄積的不活性化が増強されるのに対し、rKv1.4のそれは阻害される。蓄積的不活性化には、ポアを形成する領域の構造が関わっていることが示唆されたので、この領域における点変異体を作成し、機能解析実験を行った。その結果、アミノ末端構造によるポアブロックが主因であるN型不活性化が存在する状態では、蓄積的不活性化にチャネルポア構造の形状変化が関与していることが示唆された。次に、この現象がポアブロックのみで生ずるか否かを調べるために、N末端を欠失させたポア変異体におけるボールペプチドによるポアブロックを解析することを計画し、必要なN末端欠失変異体の作成を行った。最近、これら変異体の作成を完了したので、今後、機能解析実験を進める予定である。 aKv1.1aとaKv5.1は共に6つの膜貫通ドメインを持つ。不活性化に必要なドメインを探るために、両者の各膜貫通ドメインを交換した16種類のキメラチャネルの作成を試みた。このためには、両チャネルの適切な部位に新たな制限酵素部位を導入する必要がある。現在、原因不明の理由によりaKv5.1の方に制限酵素部位の導入ができていない。今後、この点を解決すべく研究を継続する予定である。
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