1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09640815
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Research Institution | Life Science Institute, Sophia University |
Principal Investigator |
井内 一郎 上智大学, 理工学部, 教授 (10011694)
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Keywords | 卵膜 / 硬化 / 受精膜形成 / ニジマス / メダカ / プロテアーゼ / 金属プロテアーゼ / トランスグルタミナーゼ |
Research Abstract |
メダカやニジマス等の魚類卵の卵膜硬化は、卵膜構成タンパク質の金属プロテアーゼによる限定分解と、トランスグルタミナーゼ(TGase)による高分子化反応の2つの反応が関与する。このカスケード系を理解するために、交付申請書に記載した3つの具体的な研究を行い、以下の研究成果が得られた。 (1) ニジマス未受精卵卵膜から2種類のTGase(P1、P2)を精製し、酵素学的性質、タンパク化学的性質を調べた。P1(82および76kDa)は淡水のような低イオン強度下でのみ活性をあらわし、P2(76kDa)はイオン強度に関係なく活性を持っていた。受精後の速やかな卵膜硬化が起こるためにはP1が特に重要であろう。アミノ酸組成を比較すると、P1とP2は新規なTGaseであると考えられた。 (2) 抗体を利用して卵付活後のTGaseの挙動を調べてみた。P1は48kDaタンパク質になり卵付活後も卵膜に留まっていた。一方、P2は卵膜より遊離することが分かった。48kDaTGaseは卵膜タンパク質を局所的に重合し、遊離するP2は囲卵腔の中をめぐって卵膜全体に作用し卵膜硬化に関与するのであろう。 (3) メダカ卵でもTGaseにより卵膜硬化が起こる。TGaseは未受精卵卵膜に局在しているが、ニジマス卵と異なり、種々の溶媒を用いても抽出不可能であった。卵付活後の挙動を調べると、TGaseには2種類あり、一方は卵膜に留まり、他方は卵膜より遊離することが分かった。これらの変化には、leupeptin感受性、および、EDTA感受性タンパク質分解酵素が関与している。 以上のように、単純そうに見える卵膜硬化の現象は、2種類のTGaseと少なくとも2種類のタンパク質分解酵素が関与し、付活後卵細胞より分泌されるCa^<2+>イオンをトリガーとして起こることが明らかとなった。
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[Publications] Sugiyama,et al: "Formation of mature egg envelope subunit proteins from their precursors(choriogenins)in the fish,Oryzias latipes:Loss of partial C-terminal sequences of the choriogenins." J.Biochem.125. 469-475 (1999)
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[Publications] Sugiyama,et al: "The third egg envelope subunit in fish:cDNA cloning and analysis,and the gene expression." Dev.Growth Ditterent.40. 35-45 (1998)
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[Publications] Ha,C-R.and Iuchi,I.: "Enzyme responsible for egg envelope(chorion)hardening in fish:Purification and partial characterization of two transglutaminases associated with their substrate,unfertilized egg chorion,of the rainbow trout,Oncorhynchus mykiss." J.Biochem.124. 917-926 (1998)