1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析の成果を形態形質(生殖構造の形質)で評価する-キキョウ目(キク目)を例にして
Project/Area Number |
09640825
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60089604)
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Keywords | キキョウ目 / キク目 / ミツガシワ科 / 発生学 / Alseousmiaceae / Asterales / Campanulales / Menyanthaceae |
Research Abstract |
平成9年度の研究計画は、Alseousmiaceae、ミツガシワ科の生殖構造の研究である。 Alseousmiaceaeについては、Alseousmiaの雌雄生殖器官の若い時期から成熟期まで、更に受精後の種子の完成まで、通常のパラフィン法による切片を大量に作り、現在なお観察中である。これまでの観察によれば、Alseousmiaは胚珠の形態、胚のうの発生様式、胚乳の形成様式において、キキョウ目(キク目)の特徴を共有していることが確認できている。しかし、いわゆるterminal endospermというキキョウ目(キク目)に特有の特徴については、まだ十分の確認がとれず、もう少し補足のパラフィン切片による観察が必要と考えられる。 ミツガシワ科については、日本産のミツガシワ、イワイチョウ、ガガブタの3属3種について、特にこれまでデータの欠けていた、珠皮の厚さについて観察した。そのため、これらの材料の採集し、花のパラフィン切片を作製した。その結果、いづれの属、種でも、6細胞層以上の厚さのある珠皮をもつことが初めて観察された。例えばミツガシワでは、15-25細胞層にもなる。このことから、キキョウ目(キク目)の中では、厚い珠皮の獲得は、クサトベラ科とキク科の祖先ではなく、さらに遡ってミツガシワ科その共通の祖先のところで進化したことが明らかになった。 更に、今年度は、ArgophyllaceaeのArgophyllum montanumとPhellinaceaeのPhelline lucidaとP.comosaを入手し、現在それらの観察を始めたところである。
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