1998 Fiscal Year Annual Research Report
分子系統解析の成果を形態形質(生殖構造の形質)で評価する-キキョウ目(キク目)を例にして
Project/Area Number |
09640825
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
戸部 博 京都大学, 総合人間学部, 教授 (60089604)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳岡 徹 京都大学, 総合人間学部, 助手 (90303792)
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Keywords | 形態形質 / キキョウ目 / キク目 / 分子系統 / Alseuosmia / Argophyllum / embryology / systematics |
Research Abstract |
平成10年度はAlseuosmiaceae、Argophyllaceae、Carpodetaceaeの3つの科のembryologyとキキョウ科の種子構造の研究を計画した。これまで、AlseuosmiaceaeとArgophyllaceaeの研究はほとんど終わった。 AlseuosimiaceaeについてはAlseuosmia macrophylla 1種、ArgophyllaceaeについてはArgophyllum montanumとA.nullumenseの2種に基づいて研究が行われた。embryologyの形質の特徴は2科ともほんと同じであった。即ち、胚珠は1枚の珠皮をもち、tenuinucellateで、endothelium、ab initio Cellular typeの内乳、豊富な内乳をもった成熟種子、endospermhaustoriumなどの特徴をもつ。これらの特徴の組み合わせにより、この2つの科がAsterid IIIないしAsterid Iの特徴とほぼ一致することが明らかになった。しかし、Asterid IとIIIの中でも最も進化した狭義のキク目(ミツガシワ科、カリケラ科、クサトベラ科、キク科)とは一致しない。従ってembryologyのデータはAlseuosmiaceaeとArgophyllaceaeが少なくともAsteridIとIIIの中の原始的位置を占めるとする分子系統の解析結果と矛盾しない。 従来Alseuosmiaceaeはバラ目に、ArgophyllaceaeはEscalloniaceaeあるいはツバキ目に分類されてきたが、この研究の成果を分子系統の研究成果と合わせることで、この2つの科がキク目やキキョウ目に近縁がグループであることがほぼ証明されたと考えられる。AlseuosmiaceaeとArgophyllaceaeのembryologyの研究成果は世界で最初のデータであり、論文原稿としてまとめつつある。
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