Research Abstract |
本年度は,北海道,東北地方,関東地方,および関西地方において,ふるい法を用いて調査・採集を行った.調査対象は,種分化が著しいメダカハネカクシ亜科(Steninae)及びシリホソハネカクシ亜科(Tachyporinae)ハネカクシを中心に行った.北海道の調査により,ドウボソメダカハネカクシ(Stenus macies Sharp)種群の研究が進んだ.研究の結果,雄交尾器の先端が細く,その形状が,本州産の形状と異なり,多型を示していることが解った.福島県の調査では,Sepedophilus pedicularius Gravenhorst種群等の研究が進展した.この種群は,これまで国内ではS.pedicularius1種しか記録がないが,今回の調査では,雄交尾器形態が明らかに異なる(内帯毛基部の骨片がない)種が,採集されたので,新種として,記載する予定である.関東北部の調査では,サンチラメダカハネカクシ(Stenus santira Naomi)の研究が進んだ.雄交尾器側片は,中部地方の標本では,長く,先端に長毛を供えているが,この地域では短く,単毛を供えていると言うことが解った.関西の調査では,S.pedicularius種群の調査が進んだ.S.pediculariusでは,内帯毛基部の骨片は,四角形をしているが,関西の種では縦長の三角形をしていた.この構造は,精包を雌に渡すときに利用される重要な構造であることから,新種と考えられる.よって,新種として記載する予定である. 今回の申請課題の研究結果として,裏面の通り3つの論文発表を行った.第1報では,シリホソハネカクシ亜科Sepedophilusに属する日本列島に固有の4新種を記載した.第2報では,屋久島から記載されていたSepedophilus simulans Nak. et al及び,S.tristiculus(Weise)を再記載した.第3報では,同属に属する日本固有の3新種1亜種を記載した.
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