1998 Fiscal Year Annual Research Report
足根関節の分析によるヒト上科霊長類の地上性起源に関する研究
Project/Area Number |
09640834
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中務 真人 京都大学, 大学院理学研究科, 助教授 (00227828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 英実 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (60027480)
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Keywords | 霊長類 / 四肢骨 / 距骨下関節 / 運動 / 進化 / ロコモーション / 二足歩行 |
Research Abstract |
内反・外反にともなう距骨下関節の動態を現生霊長類において分析した。前年度のニホンザルを材料とした分析に引き続き、ヒト、チンパンジー、コノハザル、オマキザルを対象に分析を行い種間比較を行った。液浸標本の足を最も強く内反・外反させた状態で固定し、CT(東芝製X lead)で0.5mmのピクセルサイズで連続断面撮影を行い、三次元画像構築ソフトAVSを用いて立体再構築した。いずれの霊長類でも、距骨下関節では内反運動に伴う距骨の近位移動(底屈)、内旋、外転が観察された。しかし、ヒトに比べるとヒト以外の霊長類では共通して内旋成分が小さいことが明らかになった。ヒト以外の霊長類では足背から見たときに踵骨の後関節面の長軸が踵骨長軸と平行に近い。ところがヒトの場合では、踵骨の後関節面の長軸が踵骨の長軸に対し近位内側から遠位外側方向にずれている。これによって、距骨の外転、底屈、内旋の3つの成分のうち、内旋がニホンザルに比べると相対的に優勢であると考えられる。これは二足歩行に伴う特殊化であり、ヒト以外の霊長類に見られる内旋と底屈が同程度に発生する形態がより原始的な状態であると考えられる。種間比較では、オマキザルはコノハザルやチンパンジーに比べ外転角が目だって大きい可能性が示された。広鼻猿では踵骨の載距突起上の内側関節面から踵骨遠位端上部の関節面まで続く細い帯状の関節面が観察される。広鼻猿でこうした関節面が高頻度に観察される理由は内反時に発生する顕著な外転運動に関係していることが示唆されるが、このような距骨下関節の運動が広鼻猿全ての特徴かどうかはさらに多くの種を対象に調べる必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 中務真人 他: "A newly discovered Kenyapithecus skeleton and its implications for the evolution of positional behavior in Miocene East African hominoids" Journal of Human Evolution. 34. 657-664 (1998)
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[Publications] 中務真人 他: "A new discovery of postcranial skeleton of Kenyapithecus from BG-K fossils site,Nachola" Anthropological Science. 106. 138 (1998)