1998 Fiscal Year Annual Research Report
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09640840
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Research Institution | SAITAMA MEDICAL SCHOOL JUNIOR COLLEGE |
Principal Investigator |
小島 龍平 埼玉医科大学短期大学, 理学療法学科, 助教授 (20241804)
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Keywords | ニホンザル / 固有背筋 / 筋線維タイプ構成 / 筋構築 / 機能形態学 / 組織化学 / ロコモーション |
Research Abstract |
ニホンザルの胸部の固有背筋について筋構築学的に検索をおこない,この結果を前年度に検索した同筋の筋線維タイプ構成と対応させ,機能形態学的な検討をおこなった.ニホンザル成獣4頭(雄2頭,雌2頭)の胸部の固有背筋のうち,胸腸肋筋,胸最長筋,胸練筋について,それぞれの筋をさらに起始,停止を異にする単一の筋束に分離し,各筋束ごとに起始および停止を記載し,また筋束長,筋線維長(筋束長から起始腱および停止腱の長さを除いた長さ),筋束重量を測定し,相対筋線維長(筋線維長/筋束長)および単位長さ当たりの筋束重量を計算により求めた.また,これらの筋束構成および筋構築学的な所見をすでに検索した各筋の筋線維タイプ構成と対照した.胸腸肋筋は比較的近いセグメント間を結ぶ多数の短い筋束により構成されていた.この筋の筋線維タイプ構成をみると,胸最長筋と比べてtypeI(遅筋)線維の比率が高かった.このような筋構築学的および組織化学的特性は,この筋が比較的近いセグメント間の位置関係を調節し,また姿勢を保持するのに適した形態と機能をもつことを示唆している.一方,中部および下部の胸最長筋は互いに離れた位置にあるセグメント間をつなぐ長い筋束により構成されていた.これらの筋束の単位長さ当たりの重量は大きな値を示し,これらの筋束の横断面積が大きいことを示した.この筋の筋線維タイプ構成をみると,typeII(速筋)線維の比率が高かった.このような筋構築学的および組織化学的特性は,この筋が矢状面上での脊柱の全体的な伸展時に短時間に大きな力を発揮するのに適した形態と機能をもつことを示唆している.頚部の胸最長筋は,筋束長および相対筋線維長とも大きな値を示した.このような筋構築上の特徴は頚椎の可動範囲が大きいことと関連していると思われる.
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