1998 Fiscal Year Annual Research Report
セリウムドープフッ化物ガラス中でのブラッグ回折格子の光生成
Project/Area Number |
09650003
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Research Institution | MIYAGI NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
鈴木 吉朗 宮城工業高等専門学校, 材料工学科, 助教授 (80133932)
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Keywords | フッ化物ガラス / ブラッグ回折格子 / セリウム / 光誘起 / フォトクロミズム / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
セリウムをドープしたAIF_3ガラス[35AIF_3+l3YbF_3+52(Mg+Ca+Sr+Ba)F_2]に紫外光照射により生成されるブラッグ回折格子の回折効率を向上および安定化させるため、光反応機構を解明することを主眼として以下の特性を調べた。 1. 紫外光誘起吸収変化:紫外光照射に用いたKrFレーザーの光子エネルギー5.0eV付近には、三価セリウムイオン(Ce^<3+>)の4f-5d遷移による強い吸収帯が存在する。Ce^<3+>イオンを紫外光励起することにより生ずる3.8eVおよび6.2eVをピークとする2つの吸収帯が屈折率変化の主因であることは前年度の研究により示された。吸収変化をさらに詳しく調べたところ、予め存在していたCe^<3+>イオンによる4f-5d吸収帯が、紫外光照射に伴い最大6%減少していることが明らかとなった。このことはCe^<3+>イオンの価数変化が吸収変化をもたらすことを示唆する。 2. 紫外光誘起吸収の熱褪色性:紫外光により誘起された3.8eVおよび6.2eV吸収帯の等時アニール特性を調べた。3,8eV帯は、50℃のアニールで既に減少しはじめ、150℃でほぼ消滅する。一方、6.2eV帯も3.8eV帯と同様に減少するが、150℃でも75%は残留する。残留成分は、300℃を越えてはじめて減少し始め、350℃でほぼ消滅する。セリウムをドープしたシリカガラスでのフォトクロミズムとの類似性から、3.8eV帯は電子捕獲中心、6,2eV帯はによると考えられる。しかし、上記の温度依存性を説明するためには、この他にCe^<4+>と競合する電子トラップを仮定する必要がある。この制御がブラッグ回折格子の実用化の鍵となる。
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