1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
生田 博志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (30231129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下山 淳一 東京大学, 工学系研究科, 助手 (20251366)
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Keywords | 高温超伝導 / 混合状態 / 磁気相図 / キャリヤ量 / 磁束融解転移 / 磁束グラス |
Research Abstract |
本研究課題では、キャリア量を変えた一連の高温超伝導体試料を作製し、それらの混合状態を系統的に調べることを目的にしている。そこでまず、酸素量の異なるBi_2Sr_2CaCu_2O_y(Bi2212)単結晶試料を作製し、磁気相図を調べた。すでに直流磁化測定の結果では系のキャリア量の増加に伴い、規格化された磁束融解転移磁場が高磁場側に移り、磁化の第2ピークよりも高磁場側では融解転移が観測されないことが示されているが、抵抗率を中心とした測定結果もこの結論と矛盾しないことがわかった。そこで、さらに高磁場領域で抵抗率測定を行った。その結果は、高磁場領域で系が磁束グラス相にあるとすれば理解できることがわかった。また、交流帯磁率測定を行った結果も、同様に解釈できた。 さらに、磁束グラス相という解釈に立つと、低キャリヤ濃度試料のグラス転移磁場の温度依存性が極めて弱く、高キャリヤ濃度の試料とは異なることがわかった。これは、低キャリヤ領域での磁束格子相の性格が、より2次元的であることを示唆していると考えられる。また、Bi2212系の抵抗率測定の結果得られた融解転移磁場の温度依存性を詳細に検討した結果、実験結果はデカップリング理論の結論に近いものの、現象論的に若干の修正をすればさらに良く一致することがわかった。 この他にも、(La_<1-χ>Sr_χ)_2CuO_4単結晶のSr組成を変えた試料を作製し、この系でのキャリヤ量と融解転移温度の関係を初めて調べた。その結果、この系でもキャリヤ量の増加に伴って規格化された融解転移磁場が高磁場側に移ることがわかった。また、YBa_2Cu_3O_yの配向試料にパルス磁場を印可したときの試料の磁化のされ方から、高速で運動する磁束線には粘性力が働くことがわかった。この問題は今後、高温超伝導体の応用を考える際に重要であると思われる。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] K.Kitazawa: "Universal Scaling Laws in the H-T Phase Diagram of the High Temperature Superconductors" Physica C. 282-287. 335-338 (1997)
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[Publications] H.Ikuta: "The Vortex Phase Diagram of Bi_2Sr_2CaCu_2O_y Investigated by the Resistivity Measurements" Physica C. 282-287. 2015-2016 (1997)
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[Publications] J.Shimoyama: "The Universal Magnetic Phase Diagram of Bi2212 under H//c" Physica C. 282-287. 2055-2056 (1997)
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[Publications] A.Terasaki: "Flux Motion during Pulsed-Field Magnetization in Melt-Processed YBCO" Proceedings of the 10th International Symposium on Superconductivity(Oct.27-30,1997,Gifu). (印刷中).
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[Publications] T.Sasagawa: "Vortex-Lattice Phase Transition in(La_<1-χ>Sr_χ)_2CuO_4)Single Crystals : Universal Scaling of the Phase Transition Lines in HTSC" Proceedings of the 10th International Symposium on Superconductivity (Oct.27-30,1997,Gifu). (印刷中).