1997 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解反射分光を用いた吸着・脱離の動的過程の研究
Project/Area Number |
09650027
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
田中 正俊 横浜国立大学, 工学部, 教授 (90130400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
織田 晃祐 横浜国立大学, 工学部, 助手 (90282954)
中島 俊信 横浜国立大学, 工学部, 助手 (30017991)
宇佐美 誠二 神奈川工科大学, 教授 (40017877)
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Keywords | 実時間測定 / 反射分光 / マルチチャンネル測定 / 化学吸着 / タングステン / 窒素 / 酸素 |
Research Abstract |
本研究はマルチチャンネル光反射分光法の速い時間応答性を生かして,反射スペクトルによって吸着状態を特定しながら、固体表面での気体分子の吸着・脱離現象の中間過程をリアルタイムでその場観測しようとするものである。 当初は高速電磁弁による分子線源の制御を計画していたが,現在の排気系では入射分子を短時間で充分排気できないことが分かったので,一定の気体圧力下での吸着過程の研究に切り替えた.1024チャンネルのダブルフォトダイオードアレイを用いて1.5-5eVの反射スペクトルの時間変化を測定する系を構築した.4x10^<-4>程度のスペクトル変化を測定するときの時間分解能は1s程度であった.今年度はW(100)の窒素および酸素吸着の過程を研究した. W(100)の窒素吸着過程では,露出量1L程度で飽和する3.8eVの反射スペクトル変化と1L以上でゆっくり増加する2.0eVでの変化が観測された.従来の報告によれば,前者はβ_2状態,後者はβ_1状態に対応すると考えられるが,両者を分離して吸着の進行をリアルタイムで観測したのは始めてのことである.この結果から,β_1状態の初期吸着速度がわかり,その起源について理解が進むと考えられる.一方,酸素吸着過程では3.8eVと2.0eVのスペクトル変化は初期から同時に起こっているように見える.酸素吸着系でも高露出量で進展する吸着状態があるとされているが,反射スペクトル変化には現れてこない.吸着種や吸着サイトによる反射スペクトル変化の相違を解明するため,現在バンド計算を行っている. 来年度は,W(100)の吸着系の研究を継続するとともに,Si(111)の塩素吸着過程の研究を進める予定である.Si(111)については最近吸着サイトと反射スペクトル変化の関係が明らかにされており,W(100)の吸着系より詳細な議論ができると期待される.
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