1997 Fiscal Year Annual Research Report
水素ラジカル支援プラズマ化学気相成長法による立方晶炭化ケイ素結晶の低温成長
Project/Area Number |
09650028
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
安井 寛治 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (70126481)
|
Keywords | 水素ラジカル / プラズマ化学気相成長法 / 立方晶炭素ケイ素 |
Research Abstract |
本研究は、プラズマにより生成した水素ラジカルの反応性を用いてシリコン基板上に高融点半導体である立方晶炭化珪素(3C-SiC)の結晶成長やエピタキシャル成長を低温で実現することを目的としている。大口径ウエハ-が得られるシリコン基板上に成長させることで高温半導体デバイスやX線リソグラフ用マスクメンブレンの実用化に結びつく技術を確立しようとしている。初年度である平成9年度は、三極管型プラズマCVD法およびハイブリッドプラズマCVD法により原料に有機珪素化合物の一種であるジメチルクロロシランおよびジメチルシランを用いて1000℃程度までの低温プロセスでの結晶成長を試みる計画であった。 研究の結果、低温での結晶成長には三極管型プラズマCVD法が有効で、本成長法により600℃以下の低温で結晶SiCの成長を実現し、この結晶成長が成長時の基板表面近傍の低いプラズマ空間電位と1eV以下の低電子温度条件下で実現することを見出した。さらにプラズマ空間電位の高周波変動振幅を2V以下にまで低減させることで13.56MHzの高周波に追随すると考えられる水素イオンのシースでの加速を低減させ、更に結晶性の向上を実現した。 次にシリコン基板上でのエピタキシャル成長温度の低減をはかっているが、現時点では、900℃以下の温度では基板面方位にかかわらず(111)方位の優勢な多結晶膜となった。1000℃において(100)、(111)基板ともにエピタキシャル成長に成功している。三極管型プラズマCVD法を用いることで同じ温度を用いた熱CVD法の場合に比べより良好な表面平坦性を得ている。今後、基板表面処理、成長初期過程の最適化をはかり1000℃以下でのエピタキシャル成長の実現、さらに高速成長条件を確立する予定である。
|
Research Products
(3 results)
-
[Publications] 安井寛治, 木村雅秀, 赤羽正志: "有機けい素化合物を用いたトライオードプラズマCVD法による結晶SiC膜の成長" 電子情報通信学会論文誌. J81-CII・1. 122-128 (1998)
-
[Publications] K.Yasui, M.Kimura, K.Sunuda, T.Akahane: "Controls of Electron Temperature and Plasma Space Potentials in Triode Plasma CVD for the Low Temperature Growth of SiC Films" Proceedings of the 15th Symposium an Plasma Processing. 390-393 (1998)
-
[Publications] 木村雅秀, 安井寛治, 赤羽正志: "DMCSを用いたトライオードプラズマCVD法による空間的アフタ-グロープラズマの最適化と結晶SiC膜の低温成長" 電子情報通信学会技術研究報告[電子部品・材料]. 97・355. 29-34 (1997)