1998 Fiscal Year Annual Research Report
実験室的規模ハイブリッドヘリカルマイクロウィグラーFELの研究
Project/Area Number |
09650057
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
綱脇 恵章 大阪産業大学, 工学部, 教授 (90030056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大東 延久 関西大学, 工学部, 教授 (20067549)
草場 光博 大阪産業大学, 工学部, 講師 (70268283)
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Keywords | free electron laser / wiggler / undulator / field emission |
Research Abstract |
自由電子レーザー(FEL)は光速に近い電子ビームを使用することから、大型の加速器を有し、放射線遮蔽された建屋を有する大規模研究機関でのみしか実験できず、FELの普及を妨げる大きな原因の一つとなっている。本研究では通常の分光研究に用いれる程度の、それほど大出力を要しない遠赤外領域FELを念頭において、FELのコンパクト化に向けて、ハイブリッドへリカルマイクロウィグラーおよび電界放出型電子ビーム源の開発研究を行っている。 ウィグラーについては、5角形状の永久磁石とパーメンダ一を櫛歯状ホルダーに交互に取り付けたものを4組互いに直角に合体する1周期4極からなるハイブリッドへリカルウィグラーを考案し10周期のものを製作した。周期長1cm、ギャップ径5mmで、シミュレーションでは3.6kGのウィグラー磁場が期待されたが、実測ではそれ以上の約4kGと十分大きな値を示し、またウィグラー自身の外枠は7.5cmと十分に小さく、さらに周期数を増やすことにより世界最小のウィグラーが実現できることを示すことができた。現在ピーク磁場強度の変動が7%であり少なくとも2%以下にする必要があり、磁性体のソーティング法を研究中である。 ヘリカルマイクロウィグラーFELの利得解析の理論式は昨年度に導出し、そのソフト化を行った。まだ十分に計算はできていないが、本研究の目的以外にも従来の高エネルギー電子ビームに適用することにより、極短波長SASE(自己増幅自発放射) FEL用ウィグラーとしても有用であることが明らかとなった。 電界放出型の電子ビーム源開発については、従来のタングステン陰極を用い、陰極電圧に応じた最適な収束電極電圧は非常に狭い範囲に限られることが、実験とシミュレーションより明らかとなった。陰極のアレイ化と同時に他の陰極材料についても検討中である。 以上、着実に研究は進みつつあるが、当初予定していた電子ビーム伝搬実験をできる限り早く行い、最終年度に向けて研究をより一層推進する予定である。
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[Publications] 大東延久,綱脇恵章: "1周期多極型ヘリカルマイクロウィグラーの開発" レーザー研究. 26・5. 379-385 (1998)
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[Publications] 綱脇恵章,野口美枝,大東延久,藤田雅之,今先一夫,三間圀興: "ハイブリッド平面ウィグラーを用いた自由電子レーザーの高調波利得解析" レーザー研究. 26・5. 386-389 (1998)
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[Publications] 登倉香子,綱脇恵章,草場光博,大東延久,藤田雅之,今先一夫,三間圀興: "自由電子レーザー用電界放出型タングステン陰極電子ビーム源の開発" レーザー研究. 26・5. 390-394 (1998)
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[Publications] Y.Tsunawaki,Y.Tokura,M.Kusaba,N.Ohigashi,: "Simulation and Experimental Study on Tungsten Field Emission Cathode" Nucl.Instr.and Meth.(to be published). (1999)