1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650066
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
菊田 久雄 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10214743)
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Keywords | 原子間力分光 / 原子間力顕微鏡 / 力曲線 / 力制御 / 力バランス / 制御 |
Research Abstract |
平成9年度は、力バランス方式のための制御装置の設計と製作を行った。また、カンチレバ-の変位検出をより安定にするために光ファイバー干渉計の改良を行った。 制御系の設計では、試料探針間にはたらく相互作用力を考慮したカンチレバ-の運動モデルを提案し、連続な力距離曲線を得るための条件を明確にした。また、これを踏まえて具体的な制御器(PID制御)を設計した。力バランスのための安定解析では、相互作用力の力勾配がカンチレバ-のバネ定数を上まわる場合、制御装置は数10MHz以上の周波数帯域が必要なことが明らかになった。一方、力勾配より大きいバネ定数をもつカンチレバ-を使う場合は、数KHzの周波数帯域で不連続や歪みのない力曲線が得られることが分かった。本研究では力勾配の最大を10N/mと想定し、これより強いバネ定数(20N/m)のレバ-を使う仕様で制御系を設計した。また、実際の制御は、従来のアナログ回路を使ったものから、ディジタル方式に変更した。これにより制御系のパラメータ設定が容易に行え、また複雑な制御システムを構成することで短時間で歪みのない力曲線が得られる。 光ファイバー干渉計については、2方向光ファイバー結合器を使って光ファイバーに入るレーザー光の光強度をモニターし、この信号を使って光ファイバーへの入射効率の変動を補正できるようにした。これにより、従来の装置に比べて時間変動の少ない安定な変位検出ができるようになった。 現在は、この装置を使って実際に力曲線を測定し、その基本性能を調べている。 本年度は装置の製作が主であったが、制御器に関する議論は一つの成果である。力バランス方式を使った原子間力顕微鏡の研究では、制御系に関する充分な検討がなされていなかった。今回、周波数帯域を考慮した安定解析を行うことで、実際の制御器の設計方法が確立した。
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