1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650066
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
菊田 久雄 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10214743)
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Keywords | 力曲線 / 原子間力分光 / 原子間力顕微鏡 / 力制御 / 減衰係数 |
Research Abstract |
平成10年度は、力バランス方式における制御で問題となっていたカンチレバーの特性改善について検討を行った。前年度の研究において、カンチレバーの減衰係数が小さい場合は力の制御が容易でないことが分かっている。これを解決するには、非常に高速な応答特性をもった制御器を使用する方法と、内部損失の大きなカンチレバーを使用する方法の二つが考えられる。本研究では、後者の方法を採用した。 表面科学の領域で原子間力を正確に測定する場合、水分子の影響を避けるために超高真空中で計測が行われる。シリコンなどの脆性材料でできている市販のカンチレバーは、真空中での振動の減衰は非常に小さいことが分かっている。この場合、制御器に要求される周波数帯域は100MHz以上になり、現実的で無くなる。本研究では、カンチレバーの材質をフォトポリマーなどの高分子材料にすることで、真空中においても高い減衰を保つようにすることを考えた。 真空中で市販カンチレバーの振動を観察したところ、真空度が上がるほど減衰率が比例的に減少し、0mmHgでもある大きさの減衰率が存在した。これはレバー内部のエネルギー損失による減衰を示している。材料内部でのエネルギー損失が脆性材料に比べて大きいと思われる高分子材料を用いてマイクロカンチレバーを作成した。カンチレバーは、基板上に犠牲層となるPSG膜をつけ、その上にフォトポリマーをパターニングして、犠牲層を除去する方法で作成した。しかし、現時点では評価に値するものは完成していない。乾燥時におけるレバーと基板の固着が発生し、自由振動を起こすものが出来なかった。 今後は、固着の回避方法や制作プロセスの変更などにより、カンチレバーの完成を目指す。また、実際に真空中での減衰係数を測定することで、制御器に要求される条件の緩和の程度を見積もる。
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[Publications] N.Kato, H.Kikuta, T.Nakano, T.Matsumoto, and K.Iwata: "System analysis of the force beedback method for force-curve measurements" Review of Scientific Instruments. (未定). (1999)
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[Publications] N.Kato, H.Kikuta, T.Matsumoto K.Iwata: "Dynamic model on force feedback system for nano-newton force measurement" Proceedings of IMEKO TC3/AMP '98. 338-345 (1998)