1998 Fiscal Year Annual Research Report
微弱な核励起現象の観測のための内部転換電子時間分光法の開発
Project/Area Number |
09650073
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
岸本 俊二 高エネルギー加速器研究機構, 物質構造科学研究所, 助教授 (00195231)
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Keywords | 核励起 / 放射光X線 / 電子分光器 / アパランシェ.フォトダイオード / 内部転換電子線 / 時間分光法 |
Research Abstract |
平成10年度においては、(1)昨年度製作した、^<197>Auの軌道電子遷移による核励起現象の観測のための電子分光器について、高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設(PF)の垂直ウィグラービームラインBL14Aにて、性能評価を行うこと、(2)^<169>Tm(励起準位:8.410keV)についても同じ電子分光器を使って観測が可能となるように分光器内部円筒を別に製作し、分光器テストおよび時間分光実験をPF-BL16Aにおいて実施すること、を計画していた。 (1)について、まず電子線検出用APD素子(Φ3mm、空乏層厚30μm)の評価実験を行った。電子線検出において表面不感層となる二酸化シリコンを付けない素子(Aタイプ、自然酸化膜のみが表面に存在)と標準品よりも薄く酸化膜(250Åほど)を付けたもの(Bタイプ、標準品は1200Å)の2種類(浜松ホトニクス(株)が製作)を使って、Tm箔に8.65keVおよびAu箔に80.7keVのX線を入射したときに放出される光電子をPFのBL14Aにて測定した。その結果、Aタイプでは、表面層(自然酸化膜の下)に電荷をトラップする層が存在し、酸化膜を付けたBタイプよりも検出効率が下がり、エネルギー分解能が悪くなることがわかった。すなわち、Bタイプの素子が電子分光器用APD素子としてふさわしいことがわかった。(2)について、部品製作を行ったが、装置立ち上げの過程で、外部磁場の影響をなくすためのパーマロイ円筒に問題があることがわかり、現在改良中である。当初、SPring-8において実施を計直していた^<197>Auについての電子分光器を使った時間分光実験はビームライン(BL09XU)の整備の遅れと電子分光器立ち上げの遅れから平成10年度内の実施はできなかった。
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