1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船越 満明 京都大学, 工学研究科, 教授 (40108767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 豊 京都大学, 工学研究科, 助手 (00169583)
田中 泰明 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90217068)
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Keywords | カオス / 結合振動子系 / 結合写像系 / カオス制御 |
Research Abstract |
多数のカオス振動子が結合した系(結合カオス振動子系)の動的挙動を調べ、その系を制御してカオス的ふるまいを抑制するための適当な方法を見いだすことを目的として研究を行った。具体的には、比較的計算量が少なくてすむ結合写像格子系(各要素の時間発展がロジステイック写像で表され、相互作用が両隣の要素との拡散型のもの)を対象に、各要素が相互作用を行うことを積極的に利用して、一部の要素だけを制御する、あるいは特性を変えることによって、系全体のカオス的挙動を抑制してカオス制御をすることを試みた。その結果、ごく一部の要素の写像パラメータを変更することによって、時間空間的カオスが抑制され、空間的なドメイン構造が形成され得ることがわかった。ただし、この変更する要素の割合を減少させるにつれて、一様乱数状態からこのドメイン構造に落ち着くまでの時間が急激に増大することがわかった。また、多数個の要素からなる系の等間隔のいくつかの要素に、少数個の要素からなる系での安定周期解の値を強制的に与えることによっても、カオス制御が可能であることを示した。とくに、強制要素の間隔をどの程度まで大きくしてもカオス制御が成功するかについても調べた。これらの結果については、現在投稿準備中であり、また平成10年夏に開催予定の第3回非線形力学国際会議で発表する予定である。また、多自由度非線形振動系でのカオスとパターン形成に関する別の観点からの研究として、ファラデー波のパターン形成のメカニズムについて、新しい手法を用いて理論的に詳しく調べ、生成パターンの波長依存性についての結果を得た。次年度には、今年度に得られた上記の結果を最大限に利用して、結合振動子系での効率の良いカオス制御の方法を見いだすことをめざす計画である。
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