1998 Fiscal Year Annual Research Report
先進薄膜セラミックス被覆材の創成と構造・機械的特性の分指動力学解析手法の構築
Project/Area Number |
09650101
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
星出 敏彦 京都大学, エネルギー科学研究科, 助教授 (80135623)
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Keywords | セラミックス薄膜 / セラミックス被覆材 / 分子動力学 / スパッタリング / 微小硬度 / 曲げ強度 / 剛体球モデル / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では,まず高周波マグネトロンスパッタリング法を用いて,セラミック材料であるアルミナおよび炭化ケイ素をターゲット材とし,種々の成膜条件のもとでホウケイ酸ガラス基板上にスパッタ薄膜を形成し,これらの被覆材の機械的特性を実験的に明らかにした.評価した特性は,アルミナ被膜と炭化ケイ素被膜における表面粗さおよび超微小硬度,ならびにアルミナ被覆材と炭化ケイ素被覆材の3点曲げ強度である.得られた結果を総括すると,スパッタリング法を用いてセラミックス系材料の被膜をガラス基板上に形成することにより,特定の成膜条件下においてその被覆材の機械的特性を向上させることができた.薄膜被覆材の機械的特性に影響を与えるのはスパッタ時間であることがわかった.すなわち,スパッタ時間が長くなるほど被覆材の機械的信頼性は低下することが明らかになった.また,初期基板温度は被膜の付着力,熱応力に影響を及ぼすことが示唆された. 一方,スパッタリング法によって形成される薄膜の構造に関する分子動力学解析手法を確立するにあたって,原子間ポテンシャルモデルとしてモースポテンシャルと埋込み原子法ポテシシャルなどを用いることも考えられるが,これらの原子間ポテンシャルモデルでは実際の実験で得られる規模での結果が得られないので,経験的な事実をもとにして剛体球モデルを用いた分子動力学解析手法を構築した.この手法において薄膜形成過程のモデル化を行い,スパッタ膜に関する実験結果と比較を行った.本モデルでは,剛体球の球径の大きさと初期的に与えられる空間的な密度によって高周波出力の大きさを表現した.解析結果から,膜の見かけの密度は剛体球の球径が小さくなると小さくなることがわかった.この場合,膜の見かけの密度の大きさが膜の硬度の大きさに対応づけられるので,出力の増加によって高硬度膜が形成されるという実験結果を定性的に表すことができた.
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[Publications] Toshihiko Hoshide: "Simulation of Structural Characteristics of Ceramic Coating Film Based on Modeling of Sputtering Process" JSME Int,J.,Ser.A. 41・1. 25-30 (1998)
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[Publications] Toshihiko Hoshide: "Bending Strength of Borosilicate Glass Coated with Alumina and Silicon Carbide by RF Magnetron Sputtering" JSME Int,J.,Ser.A. 41・3. 332-337 (1998)