1997 Fiscal Year Annual Research Report
セル・オートマトンと核生成・成長モデリングによるミクロ凝固組織生成の確率論的研究
Project/Area Number |
09650104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
蔦 紀夫 広島大学, 工学部, 教授 (80221414)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩本 剛 広島大学, 工学部, 助手 (40274112)
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Keywords | 凝固 / ミクロ組織 / コンピュータ・シミュレーション / 核生成-成長 / 2相材 / セル・オートマトン |
Research Abstract |
液相から固相への凝固変態過程や,固相間の相変態過程を結晶レベルで予測し,変態後の組織や物性を予測したり,巨視的レベルで目標とする性能を実現できるように制御することは重要である. そこで本研究では,これまで得られているパラメータ因子毎の理論モデルを組み合わせた上で,細胞の自己増殖の過程を模擬したセル・オートマトンの方法を用いて,一定のルールや制約のもとで容器内での合金の液相からの核生成や成長過程を,壁画からの方向性凝固や液相内の等軸晶的凝固を組み合わせて,確率論的に種々のミクロ組織を自動的に生成できるコンピュータシステムを構築した.解析では固相化に伴う潜熱放出や容器壁冷却及び熱対流による熱拡散過程を有限要素法により扱うマクロ場の離散化モデリングと,個々のサブ領域毎のミクロな凝固核生成や成長を扱うミクロ場の離散化モデリングの両方を連成させた上で,サブ領域毎の空間内の核生成・成長を確率過程に基づいて,任意のミクロ組織が自動生成できるようにした. 液相からの固相核の生成や成長は,液相線温度からの過冷度や生成核付近の局所の溶質濃度,変態熱や熱拡散条件,固液界面の形状と界面の障壁エネルギー等の条件で決まるので,ここではエネルギー障壁条件を越えて結晶核が生成された後,perturbation法的に局所最適成長速度を決定した.固相核の成長は方向性凝固や,等軸晶的凝固のいずれにおいても,固液界面の成長速度,組織過冷の条件,隣接凝固組織との干渉や結晶方向の制約,凝固核の優先結晶方向と熱流方向との不一致による凝固速度の遅延と抑制等,様々な条件を踏まえて,凝固過程のミクロ組織が構築できるようにした. 実際にAl-Si系2元合金について,容器内への溶湯注入過程の凝固問題を,冷却条件を種々に変化させた数値シミュレーションを行って,容器緑辺や断面隅部等の方向性凝固や,等軸晶を含む容器断面全体のミクロ凝固特性を求め,本システムの有効性を明らかにした.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] T.Tsuta: "Probabilistic Approach on Micromorphology Generation During Solidification Process Using Grain Growth Kinetics" Proc.ICES'97. 1159-1164 (1997)
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[Publications] 蔦 紀夫: "確率論的ミクロ凝固組織生成のコンピュータ・シミュレーション" 計算工学講演会論文集. II-2. 969-972 (1997)