1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650109
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
皮籠石 紀雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (00117491)
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Keywords | 疲労 / Ni基超合金 / 高温環境 / き裂発生 / き裂伝ぱ / 酸化 |
Research Abstract |
1. 平成10年度の成果 本年度は、これまでの研究で明らかになったNi基超合金インコネル718の疲労き裂発生と初期伝ぱに及ぼす高温環境の影響を、疲労過程における表面の連続観察および破面観察を通じて詳細に調べた。そして高温で生じる酸化と軟化によるき裂発生、伝ぱさらに停留挙動への影響とそのメカニズムについて検討した。主な成果は以下の通りである。 (1) 高温環境は、素材の軟化を通じてき裂の発生および伝ぱを促進する。 (2) 高温環境は、高温酸化膜の形成を通じてき裂の発生および微小き裂の伝ぱを促進する。とくに20〜30ミクロン程度の微小き裂の伝ぱ抑制が顕著である。 (3) き裂発生抑制の主な原因は硬い表面酸化膜によるすべりの抑制であり、き裂伝ぱの抑制には酸化物誘起き裂閉口が関与している。また停滞したき裂が再び伝ぱを開始するのは、閉口状態のき裂が圧縮の応力繰返しを受ける過程で軟化した酸化物直下のき裂面がつぶされき裂が開口するためである。 (4) 高温の場合、全寿命のほとんどが数十ミクロン以下の微小き裂の伝ぱ過程で占められる。 (5) 約50ミクロン以上の伝ぱ過程を対象にすれば、応力および温度を変動させた場合のき裂伝ぱおよび疲労寿命はマイナー則で近似的に評価できる。 2. 今後の課題 平成11年度は、当初計画の研削加工材の疲労強度に及ぼす高温環境の影響評価を行う。またこれまでの成果として、高温環境は疲労き裂の発生と伝ぱの両過程に影響し、後者への影響が非常に大きく、とくに微小なき裂の伝ぱの抑制が大きいことが明確になったので、平成11年度は、微小き裂の伝ぱが重要な意味をもつ、疲労における過大・過小応力の影響およびコーキシング効果についても検討する予定である。
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