1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650109
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Research Institution | KAGOSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
皮籠石 紀雄 鹿児島大学, 工学部, 教授 (00117491)
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Keywords | 疲労 / Ni基超合金 / 高温環境 / き裂発生 / き裂伝ぱ |
Research Abstract |
Ni基超合金は、耐食性と高温強度に優れているが、加工が困難な材料である。このような難削材の加工にCBN(Cubic Boron Nitride)砥石による研削が有効であり、しかも本加工の場合表面層に圧縮の残留応力が生成するため疲労強度も向上することが予想される。そこで、GC、WAおよびCBNの3種類の砥石による研削加工材を用いて室温および高温(500℃)で回転曲げ疲労試験を行った。そして各研削材の表面性状(表面粗さ、硬さ、残留応力)と疲労強度とくに疲労き裂の発生と初期伝ぱについて調べた。なお研削による加工層は砥石の種類だけでなく、研削条件によっても影響を受けるので、ここでは軽度の研削を行い、表面粗さがほぼ揃うようにした。主な成果を列挙すると以下のようになる。 (1)加工表面は、GC砥石の場合加工軟化し、WA、CBN砥石では加工硬化した。 (2)いずれの研削材でも表面層には圧縮の残留応力が生じたが、その大きさと深さはCBN砥石の場合が最も大きい。 (3)いずれの研削加工材でも、疲労強度は電解研磨材のそれより上昇した。 (4)高温における疲労強度は、室温におけるそれより高い。 (5)疲労限度は、室温、高温共に研削加工傷中に発生した微小き裂の伝ぱ限界で決まる。 (6)今回の研削で生じた程度の表面粗さ(約1.5μm)では、室温、高温共に疲労限度への影響は無視できる。 (7)いずれの研削加工でも、また室温、高温共に疲労寿命の多くは微小き裂の伝ぱ寿命で占められる。 (8)研削により軟化が生じた場合き裂発生は早くなり、硬化すれば遅くなる。 (9)圧縮の残留応力によりき裂伝ぱは抑制されるが、き裂が残留応力の深さ以上に大きくなればすべての研削加工材でき裂伝ぱ速度は等しくなる。 (10)以上のことから砥石による疲労強度の差は、硬さと残留応力の大きさおよび深さの差として評価できる。
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[Publications] 皮籠石,陳,近藤,後藤,西谷: "Influence of CBN grinding on the fatigue strengths of carbon steels and a nickel-based superalloy"J.Mater.Engng.and Perf.. 8-2. 152-158 (1999)
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[Publications] 陳,皮籠石,後藤,西谷,近藤: "インコネル718の中高温における疲労き裂の発生及び伝ぱ挙動"日本機械学会論文集A編. 65-637. 1954-1961 (1999)
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[Publications] 陳,皮籠石,西谷: "Evaluation of notched fatigue strength at elevated temperature by linear notch mechanics"International Journal of Fatigue. 21. 925-931 (1999)
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[Publications] 陳,皮籠石,西谷,後藤,近藤: "Initiation and growth behavior of a small fatigue crack in nickel-base superalloy at elevated temperatures"Small Fatigue Cracks:Mechanics,Mechanism and Applications Elsevior,Oxford,U.K.. 223-230 (1999)
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[Publications] 陳,皮籠石,西谷: "Evaluation of fatigue crack growth rate and life prediction of Inconel 718 at room and elevated temperatures"Materials Scie.& Engng.. A277. 250-257 (1999)