1997 Fiscal Year Annual Research Report
酸応力環境下におけるGFRP織物積層板の応力腐食割れ特性
Project/Area Number |
09650120
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
川田 宏之 早稲田大学, 理工学部, 教授 (20177702)
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Keywords | 応力腐食割れ / 腐食疲労 / 等価応力拡大係数範囲 / K_<1SCC> / 界面はく離 / GFRP |
Research Abstract |
腐食疲労における周波数の影響を調査した結果,周波数依存性は殆どなく,異なった周波数でも経過時間が同じであればき裂進展速度が等しくなった.このことは,腐食疲労環境下でも応力腐食割れ同様,き裂進展に関して化学的因子が支配的であることを示している.応力比の影響も殆ど見られなかった.等価応力拡大係数範囲ΔK_<eq>による評価を行った結果,γ=0.99となり,ほぼ完全なK_<max>支配であることが分かった.したがって,本研究では,GFRP織物積層板のき裂進展挙動を,K_<max>-da/dt線図として整理することができ,これは一般の腐食疲労現象とは全く異なる挙動である. 次にK_<1SCC>値に対する塩酸濃度の影響について,応力腐食割れと腐食疲労で比較検討した.荷重漸減試験でのK_<1SCC>値と,最大応力拡大係数でのK_<1SCC>値(K_<1maxSCC>)はそれぞれ塩酸濃度2.0mol/l付近,1.0mol/l付近で極値をとる.ガラス繊維の酸中強度は2.0mol/lで極小となるような曲線を描くことが確かめられていることから,ガラス繊維の耐酸強度がそのまま応力腐食割れでのK_<1SCC>値を左右していると考えられる.極値の存在については,低濃度では酸中の水素イオンが希薄で反応が活性化されず,逆に高濃度では陰イオンとガラス繊維中の金属が反応して繊維表面を覆い,反応が妨げられ,その最適値としての極値が現れると考えられる.また,K_<1maxSCC>値はK_<1SCC>値を全体的に上回る結果となった.この理由については微視的観察結果から説明できる.腐食疲労における破面は,定荷重が作用する応力腐食割れの場合に比べ,界面剥離,繊維の引き抜けが顕著であり,これがき裂進展抵抗の増加やき裂先端の鈍化を促し,K_<1maxSCC>値を増加させているものと考えられる.
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[Publications] 川田宏之, 小野寺一浩, 田中創: "酸応力環境下における耐食性FRPのき裂進展特性〜負荷形式がき裂進展に及ぼす影響を中心に〜" 第5回機械材料・材料加工技術講演会講演論文集. No.97-11. 121- (1997)
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[Publications] 川田宏之, 小野寺一浩, 水野賢, 宮田孝弘: "酸応力環境下における耐食性FRPのき裂進展特性〜環境条件がき裂進展に及ぼす影響〜" 第22回複合材料シンポジウム講演要旨集. 100- (1997)
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[Publications] 川田宏之, 小野寺一浩, 水野賢, 宮田孝弘: "GFRP織物積層板の酸応力環境下におけるき裂進展挙動と数値シミュレーション" 第27回FRPシンポジウム. (発表予定).