1997 Fiscal Year Annual Research Report
粉末射出成形プロセスによる形状記憶素子開発に関する研究
Project/Area Number |
09650122
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
京極 秀樹 近畿大学, 工学部, 助教授 (10258056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小松 眞一郎 近畿大学, 工学部, 教授 (70140316)
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Keywords | 形状記憶合金 / Ti-Ni合金 / 粉末射出成形 / 焼結 / 密度 / 機械的性質 / 回復応力 / 回復ひずみ |
Research Abstract |
本研究では,Ti-Ni系形状記憶合金を対象として高密度かつ複雑形状付与ができる粉末射出成形法による焼結体の作製条件,特にバインダの選択,脱バインダ条件および焼結条件を検討した.また,得られた焼結体の機械的性質について調べ,形状記憶素子作製のための基礎となる形状記憶特性について調べた. 実験には,原料粉末として平均粒径23μmのガスアトマイズTi粉末および平均粒径2μmのカーボニルNi粉末を用いた.バインダには,(1)17.5%ワックス-EVA-アクリル系,(2)50%ワックス-EVA-アクリル系,(3)ポリアミド系の3種類を用いた.これらのバインダと粉末を混練した後,射出成形機により引張試験片形状の成形体に成形した.つぎに,大気中,ArガスあるいはAr+10%H_2ガス雰囲気中で423Kまで加熱し,その後真空中において593Kから673Kの種々の温度で脱バインダを行った.真空中において1173Kおよび1423Kで7.2ksから72ks焼結した. 本研究の結果,作製条件についてはワックス50%を含むバインダを用いて,ArあるいはAr+H_2ガス中で初期の脱バインダを行った後,真空中で脱バインダを行い,その後真空中で焼結する条件が最適であることがわかった.この条件により得られた焼結体の密度は65%程度,引張強度は110MPa,伸び2%程度であった.本研究では,素粉末混合により合金を作製したため,十分な密度および機械的性質が得られなかったが,形状記憶合金素子の応用に重要な応力-ひずみ関係,ひずみ-温度関係などを検討した結果,形状回復機能は十分有していることがわかった.今後,合金粉末を用いることにより優れた機械的性質および形状記憶特性を有する焼結体が作製できると考えられる.
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