1997 Fiscal Year Annual Research Report
酸化チタン強化サファイアバイトによる鉄鋼材料の超精密切削に関する研究
Project/Area Number |
09650144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
上神 謙次郎 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (50047180)
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Keywords | 超精密切削 / 単結晶酸化アルミニウム / ホワイトサファイア / サファイアバイト / 結晶方位 / 酸化チタン / 固溶硬化 / 異相分散硬化 |
Research Abstract |
超精密切削が実現している範囲は、単結晶ダイヤモンドを切削工具とし、被削材が非鉄系金属の場合である。鉄鋼系金属をダイヤモンドバイトで切削すると、ダイヤモンド炭素が被削材の鉄鋼に急速に拡散して工具の摩耗が激しく、切削の継続が不可能になる。本研究はダイヤモンドの替わりに単結晶アルミナ(ホワイトサファイア)をバイトとし鉄鋼系材料の超精密切削を実現しようとするものである。 まず、バイト刃先の結晶方位をどのように採ればよりバイトとしての性能が発揮できるかを調べた。サファイア結晶は六方晶であるので(0001)面が劈開面となる。工具刃先の応力がこの面に比較的低く作用するような方位にバイトを製作すれば大きな工具欠損が生じないことを確認した。 しかし、被削材料が鉄鋼(S55C)でありアルミ合金や銅系材料よりかなり硬いため、サファイア工具の摩耗は激しい。そこで、酸化チタン粉末がサファイアに接触している状態で加熱して、サファイア中にTiO_2を拡散させてサファイアの硬質化を図った。その結果、サファイア中にTiO_2が約0.8wt%拡散させると最も硬くなり、元の硬さ2000HV0.1が約1.8倍の3600HV0.1にまで上昇することが分かった。 つぎに、アルミナセラミックバイトにTiO_2を拡散させて硬質化を図ったバイトで切削を行い、工具摩耗の進行を無処理のバイトと比較したところ、TiO_2添加処理バイトの摩耗が抑制されること、そしてより高速切削においてその抑制効果が大きいことを確認した。これについては精密工学会誌に発表した。 以上、サファイアバイトの最適結晶方位とTiO_2添加による工具摩耗抑制効果が確認できている。
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