1997 Fiscal Year Annual Research Report
翼面に発生する剥離の動的制御による翼列性能の向上に関する研究
Project/Area Number |
09650176
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
船崎 健一 岩手大学, 工学部, 助教授 (00219081)
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Keywords | 剥離泡 / 翼 / 境界層 / 乱流 / 後流 |
Research Abstract |
翼前縁に発生する剥離泡は,翼の失速現象だけでなく,再付着点近傍での高熱負荷,境界層遷移の促進などに関与するため,その制御方法を見いだすことは,ターボ機械のさらなる高性能化につながる重要な研究課題である.今年度行った研究成果を以下にまとめる. (実験装置の製作) 翼前縁に発生する剥離泡の動的挙動を明らかにするため,翼前縁モデルを製作した.このモデルは,前縁半径が100mm,全長が900mm,幅300mmのアクリル製であり,翼表面には,圧力を計測するための静圧孔が設けられている.モデル表面上での流れの二次元性を確保するため,モデルに側壁側に薄いフェンスを取り付けた.このフェンスの有効性は流れの可視化で確信している.また,モデルと流れのなす角度(インシデンス)を変化させることが可能である.今回は静止円柱(直径10mm)を供試体の350mm上流に設置し,円柱後流の強い乱れによる剥離泡の制御を試みた. (計測装置) 翼面境界層の詳細な計測を行うため,高精度な熱線流速計及びトラバース装置を導入した.熱線プローブには単線プローブ部を用い,プローブ先端の正確な位置決めを可能にする工夫を施した. (計測結果) 剥離泡制御のための円柱を上流側に設置したところ,以下のような知見を得た. 1)圧力分布では剥離泡はほとんど消滅していた 2)熱線プローブによる詳細な計測の結果では,インシデンス=0の時の剥離はほぼ消滅に近い状態にあったが,インシデンスを増加させた場合,剥離泡のせん断層に起因する高い乱れ度の領域が次第に壁面から逸脱することから,剥離泡の存在が認められた.この観測結果は,境界層の形状係数の流れ方向分布からも明らかであった.即ち,インシデンスが大きくなると,円柱後流の強い乱れの存在にも関わらず,境界層は乱流の状態で剥離している.しかし,その厚みは翼前縁半径と比べて十分に薄く,主流との干渉現象を引き起こすことはほとんどない.
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