Research Abstract |
回転円柱面上で,直接薄板を製造するストリップ連鋳法の試みの中で,重要な問題の一つは,液面に発生する波と流れの乱流遷移である.このうち,本研究では乱流遷移よりも小さいレイノルズ数で発生する液面波の研究を行っている. しかし,溶湯の薄層流に発生する波の実験的研究は,極めて困難である.一方薄層水流の理論的・実験的研究の結果(機論(B),54-502),境界層厚さは厚くて0.5mm程度で,温度境界層を考えても水深方向の深さの大部分はポテンシャル流であることは明らかであり,レイノルズ数その他の諸パラメータも溶湯と水は非常に近い.そのため薄層水流で波の研究を行うことになった.その結果,種々の興味ある波の発生が観察された(機論(B),56-522,57-535).その中で,もっとも低速で発生する波は円柱周方向進行波と軸方向定在波である.この波の測定そのものが困難を極めたが,研究の結果(ASME,FED-Vol.229(95年8月),機論(B),63-605(97年1月),写真測量とリモートセンシング,36-1(97年3月)),探針法でも必要な精度で測定できることが明らかになった.これらの研究と並行して水面安定性解析の理論的研究を行ってきている.筆者らは,この波の成長は外力形不安定現象によるものと理解している. すなわち,円柱頂点から流下するに従い,遠心力はやゝ増加する程度であるが,重力の円柱半径方向成分は急速に小さくなり,真横で零になる.このアンバランスを表面張力がどこまで補えるかという問題である.近似を可能な限り少なくした理論解析の結果の式は得ているが,複雑を極めたものであるため,高速パソコンを2台購入して計算をしている.しかし,計算は遅々として進まない.一方,かなり大胆な近似を行えば,水面安定のための解析解が得られ,その結果は実験結果とかなりよく一致する.これに関しては学会に報告する準備を進めているところである.
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