1997 Fiscal Year Annual Research Report
森林キャノピ-層による乱れエネルギーの減衰機構の解明
Project/Area Number |
09650200
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平野 公孝 宮崎大学, 工学部, 教授 (40094081)
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Keywords | 植生流体力学 / 森林キャノピ- / 風洞実験 / エネルギー減衰 / 乱れ / 環境流体力学 / 防風効果 |
Research Abstract |
本研究は,2年計画の初年度である.森林キャノピ-層による防風機能のメカニズムを明らかにするための基礎研究として,風洞による模型実験と数値シミュレーションを実施するための予備的な実験等が行われた. 1.小型の風洞を用いた実験により,キャノピ-模型まわりの速度場(時間平均速度,2方向の乱れ度成分,及びレイノルズ応力)が観測された.対象とする森林模型は,樹冠密度の密と疎の模型で,樹冠部の厚さが薄いと厚い場合の合計4種類である.キャノピ-模型背後に減速領域が形成される一方で,模型上方部では増速領域となり,流路断面全体を流れる運動エネルギーは増加する.この増加した運動エネルギーは,圧力のエネルギーから転化されるため,流れ場全体的な防風効果の定義を改めて明確にする必要があることを示した. 2.大型風洞実験のためのキャノピ-模型を製作し,樹木1本毎の効果を表現することが試みられた.1本の樹木の樹冠部は,円柱に取り付けられたらせん状のワイヤーに切れ目を入れた紙テープを貼ることにより模擬された.森林キャノピ-模型は,千鳥型格子状に配置された多数の樹木で構成された.この森林キャノピ-模型の下流域での流れ場は,樹木下流の位置と樹木間の位置で乱れ度が大きく異なり,特に,模型の最後の樹木列の状態に大きく影響を受けるなど,きわめて強い三次元流れ場になっていることが明らかにされた. 3.森林キャノピ-まわりの流れ場を数値シミュレーションするための準備が進められた.従来の森林まわりの流れの解析では,樹冠部が示す抵抗を抵抗係数を人為的に導入することで考慮されている.本研究では,樹冠部が示す流体力学的特性を,分子動力学の立場に立った計算手法により考慮することが試みられている.研究初年度としては,計算プログラムの完成をみていないが,既存の計算手法とは異なった手法の確立を目指している.
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Research Products
(1 results)