1997 Fiscal Year Annual Research Report
濃淡予混合気空間分布の双峰化による高速燃焼の清浄化
Project/Area Number |
09650216
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小川 英之 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (40185509)
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Keywords | 内燃機関 / 層状給気機関 / 層状燃焼 / 希薄燃焼 / 窒素酸化物 / 排気エミッション / 希薄限界 / 熱効率 |
Research Abstract |
本研究では,ピストンの位相差と二段噴射を組み合わせることにより濃淡二層予混合気を形成する直接噴射式層状給気機関を考案し,その燃焼および排気特性についての検討を行った.具体的には,ピストンの中心部に設けた濃予混合気用キャビティとその外側に設けた希薄予混合気用キャビティに対する噴射時期をピストンの位相にあわせて設定し,燃料の分配を適切に行うことで任意二層混合気の形成を試みた.この際,燃料には自動車用ガソリンを用いて実験を行った.実験に先立ち,多次元エンジンシミュレーションコード「FIRE」を用いて本燃焼系の解析を行ったところ,燃焼室内に濃淡予混合気は形成されているものの,内外各キャビティ内はかなり不均一であり,とくに内キャビティ内は壁面近傍がかなり濃くなっているのに対し,全体的には設定よりも希薄であり,とくにキャビティ上部の中心付近はかなり希薄になっていることがわかった.実験では,上記「FIRE」の結果を踏まえて,従来の市販点火プラグから電極を延長した試作点火プラグに変更してギャップ位置が内キャビティ底部に近づくようにしたところ,燃焼の安定性が飛躍的に向上した.次に内キャビティ内混合気の均一化をねらいとして内キャビティへの噴射を圧縮行程から吸気行程に変更したが,この場合燃料が内キャビティに留まらずに燃焼室全体に拡散して二層化が不可能になるため適切ではないことがわかった.一方,一段目の燃料噴射は,吸気行程ピストン下降中に噴射して燃焼室全体を極力均一化し,圧縮行程に内キャビティに噴射して濃淡二層化を図るのが現段階では最良であることが明らかとなった.しかし,前記「FIRE」の予測結果の通り,実機においても内キャビティに実際に形成される混合気は設定よりもかなり希薄になっているなど,まだ二層化が不十分でNOx低減などに満足し得る結果は得られず,噴射システムや燃焼室形状といった設計因子に対する最適化などが今後の研究課題として残された.
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